タンパク質は普通に食事していればあまり不足しない栄養素だといわれています。しかしダイエット中など食事量を抑えているときは、タンパク質が不足がちです。ダイエットをしていて、なんとなく髪の毛のコンディションが悪くなった、イライラしてしまう、などが気になったらタンパク質不足かもしれません。
本当にタンパク質不足なのかどうかは、まず1日に摂取すべきタンパク質の必要量を知らないとわかりませんね。タンパク質が足りないからと肉をたくさん食べるとカロリーオーバーになってしまいます。
ここではタンパク質とは何か、どのくらいの量をとるべきなのか、そしてどのような食事をしたらいいのかを説明します。効率的にタンパク質を摂取して、ダイエットに成功を目指しましよう!
タンパク質とは?
タンパク質は、筋肉や臓器、皮膚、髪など体を構成する大切な成分のひとつです。構成人体の60%は水分で、20%はタンパク質が占めています。
体を構成するだけではなく、酵素や免疫物質、ホルモンなど体の状態を正常に保つための物質もタンパク質でできています。
一口にタンパク質といってもさまざまな種類があるので、どのような構造になっているのか、またどのような食品にタンパク質が多いのかをみていきましょう。
タンパク質はアミノ酸の集合体
ヒトの体内には、なんと約3~10万種ものタンパク質が存在しますが、タンパク質はさまざまなアミノ酸が組み合わされてできています。アミノ酸の種類は全部で20種類、そのうち11種類のアミノ酸は体内で生成できますが9種類は体内で生成できないので食事などで摂取することが必須です。
そのため、体内で生成できないアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。必須アミノ酸という名前から、ほかのアミノ酸と比較して重要なもののように感じられますが20種類のアミノ酸はいずれも重要で、不足すればタンパク質がスムーズに作れません。
またアミノ酸にはそれぞれに特化した働きがあります。例えばグルタミンは免疫力アップに、グリシンは睡眠の質に関連するアミノ酸です。
食品を摂取して体内でタンパク質がアミノ酸に分解され吸収し、肝臓で新たにヒトの体を構成するタンパク質に合成されます。
タンパク質はアミノ酸の集合体ですが、体内で作られない必須アミノ酸がどの程度含まれるかどうかが大切なポイントです。必須アミノ酸の種類やタンパク質の量を元にアミノ酸スコアという数値で表示されます。
例えば、必須アミノ酸がすべて揃っているタンパク質はアミノ酸スコアが100で、良質のタンパク質といえます。
タンパク質が多い食品
タンパク質が多い食品は次のとおりです。
●肉類
●魚介類
●乳製品
●卵
●大豆製品
主な食品の100gあたりのタンパク質量と食事の際に目安になる量に含まれるタンパク質量を表にまとめました。
食品名 |
100gあたりのタンパク質量 |
目安量とそれに含まれるタンパク質量 |
||
単位 |
食品の重量 |
タンパク質量 |
||
鶏肉ささみ生 |
23.9g |
1枚 |
40g |
9.56g |
豚肉ロース赤身 |
17.8g |
1枚 |
200g |
35.6g |
あじ |
19.7g |
1匹 |
70g |
13.8g |
しらす干し |
40.5g |
大さじ1 |
5g |
2g |
焼き竹輪 |
12.2g |
大1本 |
70g |
8.54g |
鶏卵 |
12.2g |
1個 |
60g |
7.3g |
普通牛乳 |
3.3g |
コップ1杯 |
200g |
6.6g |
木綿豆腐 |
7g |
1/2丁 |
150~200g |
10.5〜14g |
豆乳 |
3.6g |
コップ1杯 |
200g |
7.2g |
納豆 |
16.5g |
1パック |
50g |
8.3g |
肉類は段違いにタンパク質が多いことがわかりますが、100gあたりのタンパク質量だけではなく、カロリーなどとの関連性も考えて取り入れましょう。
また実際に食事に取り入れやすいかどうかも大切なポイントです。
動物性タンパク質と植物性タンパク質の違い
動物性タンパク質は肉類や乳製品、卵に含まれるタンパク質です。動物性タンパク質は必須アミノ酸をすべて含む良質のタンパク質ですが、同時に脂質を含むものも多く摂取する際にカロリーに気をつける必要があります。
一方植物性タンパク質は野菜や豆などに含まれるタンパク質です。植物性タンパク質は、タンパク質として劣っていると思っている人も多いのではないでしょうか?中には必須アミノ酸が全部揃っていない食品もありますが、大豆は肉類と同様必須アミノ酸をすべて含んでおり、アミノ酸スコアが100の良質なタンパク質です。
体内に入るとどちらもアミノ酸に分解され同じように体に吸収されます。
タンパク質の1日当たりの必要量は?
普通の食事でタンパク質が不足することは、まずありませんが、ダイエットをしているときは食事に気をつけて意識してタンパク質を摂取したいものです。ただし、やみくもにタンパク質を摂取するとカロリー超過が心配ですね。
ここではタンパク質は1日当たりどのくらい摂取が必要か、必要なタンパク質量の計算方法と目安を説明します。
タンパク質は過剰摂取しても無駄になってしまうので、適量を摂取するようにしましょう。
タンパク質の必要量の計算式
タンパク質の必要量(g)=標準体重(kg)×1.0~1.2g/日
で計算されます。現在の体重ではなく標準体重で計算することに注意してください。標準体重は次の計算式で計算されます。
身長(m) × 身長(m) × 22(BMI)
例えば身長が160cmなら次のように計算します。
身長160cmの人の標準体重:1.6×1.6×22=56.32
標準体重56kgの方の必要タンパク質量は、タンパク質の必要量(g)=標準体重(kg)×1.0~1.2g/日に当てはめると次のように計算されます。
56kg × 1.0~1.2g = 56~67g/日
年齢ごとに変化するタンパク質の必要量
タンパク質は成長に伴い必要量が増えます。歳を重ねていくとあまり必要ではなくなるのではないかと思われがちですが、免疫力や消化酵素などを作るタンパク質は高齢になっても必要量が変わりません。年齢ごとの推奨量を表にしましたので参考にしてください。
タンパク質の推奨量
年齢 |
男性 |
女性 |
1~2 |
20g |
20g |
3~5 |
25g |
25g |
6~7 |
35g |
30g |
8~9 |
40g |
40g |
10~11 |
45g |
50g |
12~14 |
60g |
55g |
15~17 |
65g |
55g |
18~29 |
65g |
50g |
30~64 |
65g |
50g |
65~74 |
60g |
50g |
75歳以上 |
60g |
50g |
ただし妊娠中や授乳期の女性はタンパク質の必要量が増加します。初期はほとんど変わりませんが、中期で+5g、後期+25g、授乳期で+20gほど多く摂取するようにしましょう。
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
タンパク質を理想的に摂取する食事
ダイエットでカロリーをコントロールしていると、肉類を避けてタンパク質不足になる人も多い傾向があります。その結果、肌や髪のコンディションが悪くなると感じることも。
この問題を解決するには食事をどのようにとるかが大切なポイントです。食事ごとに摂取する食品の種類と量をみていきましょう。
1食500kcalならタンパク質を十分摂取可能
ダイエット中はどのくらいのカロリーを摂取すればいいでしょうか?1日1,000kcalまで落とすと、痩せるスピードは早くなりますが、リバウンドしやすいことや栄養不足になる可能性があるので1日1,500kcalの食事がおすすめです。
1日1,500kcalの場合、大雑把に計算して1食500kcalとると仮定して献立を考えましょう。
▼例1:500kcalの朝食例
●トースト 食パン8枚切り2枚にマーガリン(バター)小さじ1 230kcal
●ゆで卵1個
●野菜スープ(野菜100g程度)
●みかん1個
●ミルクティー (牛乳140g、はちみつ小さじ1/3)
このメニューでタンパク質メインの食品である牛乳と卵で合計11gのタンパク質が摂取できます。
▼例2:500kcalの夕ご飯
●ご飯 130g(小さなお椀8分め)
●豆腐の味噌汁 豆腐100g(1/3丁)、野菜類、味噌小さじ2/3
●チキンと野菜の煮物 モモ肉90g、シメジ、野菜、油小さじ1
●りんご りんご1/3個(50g)
このメニューでタンパク質メインの食品である豆腐とモモ肉で合計24.6gのタンパク質が摂取できます。
こうして見ると1回の食事で十分な量がとれることが分かります。タンパク質は1日600kcalとして1日分を考え、3回の食事にうまく分配するとメニューが考えやすくなります。
野菜は種類によってカロリーが異なりますが、100g当たり20〜60kcalが主流なので、大雑把に100gとして計算しました。芋類は糖質グループに入れて計算してください。
主なタンパク質源のカロリーを知っておくと置き換えをして1日の食事をプランニングできます。
下のような表を作っておくととても便利です。目安量はふだん食べる量にして、文部科学省の食品データベースを利用して計算して記入してください。簡単によく食べるものを表にしました。タンパク質量だけではなく、カロリーも記入しておきましょう。
食品 |
カロリー |
タンパク質量 |
卵1個 |
85kcal |
7.3g |
牛乳コップ一杯(200cc) |
120kcal |
6.6g |
ヨーグルト(低脂肪無糖、小さなカップで100g) |
40kcal |
3.7g |
チキンもも肉(80g) |
102kcal |
17.6g |
豆腐(1/3丁) |
73kcal |
7g |
納豆(1パック50g) |
95kcal |
8.3g |
アジ(1匹、70g) |
78kcal |
13.8g |
1日に必要なタンパク質は1回の食事でまとめて摂らずに、3回に分けて摂取した方が効率的に体に吸収されます。
また果物は1日90kcalとしておやつにまとめて食べてもいいでしょう。1日の合計が1,500kcalになるように調節してください。
ダイエットを継続するには変化に富んだメニュー
ダイエット中だからとおいしくないものを食べて我慢していませんか?ダイエット中でも食事はおいしくいただきたいものです。食事で満足しないと挫折しがち。
そのためにはダイエット中の食事メニューに一工夫して和洋中華、さまざまなテイストを組み合わせます。家族と一緒に住んでいる人は、一緒に食事を楽しめるメニューを考えましょう。
ポイントは次の3つです。
●糖質を抑える
●低カロリーの食材を利用する(海藻類やきのこ類など)
●油はきちんと測る
たまには麺類も!九州まーめんにすればタンパク質摂取もラク
九州まーめんは九州産の大豆を100%利用して作られた和洋中華のレシピに合うマルチ麺です。1玉33gで茹でると約100gになり、タンパク質を14.9g含んでいます。一方糖質はわずか5.1gしか含んでいません。
そのため、まーめんを利用すればオイルを少し多めに使ってもカロリーオーバーにならないことも魅力です。
今回は、そんなまーめんから簡単レシピ『豚しゃぶとおくらのさっぱりまーめん』をご紹介!こちらのレシピでタンパク質を30gほど摂取できるんですよ。
九州まーめん公式YouTubeチャンネル
九州まーめんはこちら!
低カロリーの食事でも十分にタンパク質を摂取できる
タンパク質の必要量やタンパク質の多い食品、食事のヒントなどを紹介しました。低カロリーでも食品のとり方を工夫すればタンパク質不足になることはありません。タンパク質不足を心配するあまり、肉類や乳製品のとりすぎにも注意しましょう。
大豆は肉類同様、アミノ酸スコアが100の良質のタンパク質です。積極的に大豆製品を摂取すれば低カロリーでタンパク質がたっぷりの食事になります。大豆製品は、豆腐や豆乳、まーめんなどバラエティに富んでいます。
上手に取り入れておいしくダイエットを続けましょう。
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参考:
タンパク質とは【タンパク質の種類、機能、働きなどを解説】-森永製菓
タンパク質は体の中でどんな働きをしている? – よくある質問 – 財団法人日本食肉消費総合センター
食事療法(フォーミュラ食)-東邦大学医療センター佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター
栄養と食事-KOMPAS慶應義塾大学病院医療・健康情報サイト