「大豆」と聞いて、みなさんはどんな形を思い浮かべるでしょうか?
多くの方がベージュ色のころんとした姿をイメージしたと思いますが、実は一口に大豆といってもその種類はさまざまで、細かいものを合わせると数百種にのぼると言われています。
現在、大豆は世界中で栽培されており、特に生産量が多いのはブラジルやアメリカ。日本で食べられている大豆のほとんどがこれらの国から輸入されたもので、国内自給率は7%ほどしかありません。(※平成28年時点)
7%という数字だけ見ると栽培量は少なく感じますが、実はほぼすべての都道府県で栽培されており、その品種はバラエティに富んでいます。どんな違いがあるのか、ちょっとだけのぞいてみましょう。
黄、黒、青……
実はカラフルな大豆の世界!
大豆の種類は、大・中・小の形の大きさや用途などで区別されますが、違いが分かりやすいのは色でしょう。
まずは「黄大豆」。
生産量、品種ともに最も多く、ベージュ色の姿は、ベーシックな大豆のイメージですね。
クセが少なく、生産量も多いことからさまざまな大豆加工食品で使われており、納豆や豆腐、豆乳の原料としても馴染みが深い大豆です。
品種では東海〜九州の広い地域で作られる“フクユタカ”がメジャーで、中でも“九州産フクユタカ”は「九州まーめん」の原料でもあります。そのほか、納豆用によく使われる“スズマル”や、お味噌づくりなどに適している“キタムスメ”などが知られています。
次に有名なのは「黒大豆」。
その名の通り真っ黒で、お正月のおせち料理に欠かせない煮豆の材料です。よく「黒豆」と呼ばれるので、大豆だとご存知ない方も多いかもしれませんね。
黒色はアントシアニン系の色素によるもので、ポリフェノールが豊富なので黒豆茶などでも親しまれています。最近では黒大豆を使った納豆や豆腐も作られているそうですよ。
品種では、“丹波黒”がよく知られています。大粒で独特の甘みがあることから、煮豆として根強い人気があります。
そして「青大豆」。
緑色が美しい青大豆は、流通量が少ないためスーパーでは滅多に売られていないレアな大豆です。和菓子に使われる緑色のきな粉の原料と聞くと、ピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
調理した姿は、一見すると枝豆のよう。枝豆は未成熟で青い状態の大豆を収穫したものですが、青大豆はしっかり熟して乾燥させても青いままの大豆です。もちろん青大豆を使った枝豆もあり、枝豆で人気の“だだちゃ豆”は青大豆の仲間です。
品種では、主に製菓材料として使われる“音更大袖振(おとふけおおそでぶり)”や、たんぱく質少なめでショ糖を多く含む“キヨミドリ”などがあります。最近では青大豆の豆腐や納豆もあるそうなので、見つけたら是非試してみたいですね。
ほかにも、希少な「赤大豆」、緑と黒の2色が珍しい「くらかけ豆」、「白大豆」や「茶大豆」など、さまざまな種類があり、それぞれ更に細かい品種があります。大豆の世界は意外とカラフルで、とても奥深いですね!
品種によって活躍の違いが!
ダイエットにオススメの品種は?
大きさも栄養も品種によってそれぞれ。そのため同じ大豆でも、加工によって向き不向きがあります。
例えば、たんぱく質の含有量が多いものは豆腐や加工食品向き、ショ糖や糖質の割合が多いものはコクや甘みが出やすいので豆乳向き、粒そろいが良く適度に発酵するものは納豆向きといった具合です。
「九州まーめん」の原料である“フクユタカ”は、実はダイエッターさん向き。
それは、たんぱく質の含有量が約42%と高く、旨味成分が豊富でバランスのとれた味わいが特徴だから。まさに低糖質ダイエット中の方にピッタリではないでしょうか?
私たちの食生活では、実にさまざまの品種の大豆たちが活躍しているのだと実感します。いつも食べている大豆加工食品の品種や産地などを確認しながら食べると、また違った楽しみが生まれそうですね!
次回は、多岐にわたる大豆食品についてのお話です。お楽しみに!
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参考:
服部幸應+だいずデイズ大豆研究所(2017)『大豆の学校』OVJ.
農林水産省HP>政策統括官>米(稲)・麦・大豆>大豆のホームページ