【2022/05/18 更新】
「大豆」と聞いて、みなさんはどんな形を思い浮かべるでしょうか?
多くの方がベージュ色のころんとした姿をイメージしたと思いますが、実は一口に大豆といってもその種類はさまざまで、細かいものを合わせると数百種にのぼると言われています。
現在、大豆は世界中で栽培されており、特に生産量が多いのはブラジルやアメリカ。日本で食べられている大豆のほとんどがこれらの国から輸入されたもので、国内自給率は7%ほどしかありません。(※平成28年時点)
7%という数字だけ見ると栽培量は少なく感じますが、実はほぼすべての都道府県で栽培されており、その品種はバラエティに富んでいます。どんな違いがあるのか、ちょっとだけのぞいてみましょう。
実はカラフルな大豆の世界!黄、黒、青それぞれの大豆の特徴
大豆の種類は、大・中・小の形の大きさや用途などで区別されますが、違いが分かりやすいのは色です。黄大豆、黒大豆、青大豆、それぞれの大豆の特徴を紹介しましょう。
まずは「黄大豆」。
生産量、品種ともに最も多く、ベージュ色の姿は、ベーシックな大豆のイメージですね。
クセが少なく、生産量も多いことからさまざまな大豆加工食品で使われており、納豆や豆腐、豆乳の原料としても馴染みが深い大豆です。
品種では東海〜九州の広い地域で作られる“フクユタカ”がメジャーで、納豆用によく使われる“スズマル”や、お味噌づくりなどに適している“キタムスメ”などが知られています。
また、スーパーやネットでも、もっとも入手しやすい大豆です。生や水煮など加工状態でも様々な種類が豊富に手に入ります。価格ももっとも手頃でコストパフォーマンスの高さも黄大豆の魅力と言えるでしょう
次に有名なのは「黒大豆」。
その名の通り真っ黒で、お正月のおせち料理に欠かせない煮豆の材料です。よく「黒豆」と呼ばれるので、大豆だとご存知ない方も多いかもしれませんね。
黒色はアントシアニン系の色素によるもので、ポリフェノールが豊富なので黒豆茶などでも親しまれています。最近では黒大豆を使った納豆や豆腐も作られているそうですよ。
品種では、“丹波黒”がよく知られています。大粒で独特の甘みがあることから、煮豆として根強い人気があります。
そして「青大豆」。
緑色が美しい青大豆は、流通量が少ないためスーパーでは滅多に売られていないレアな大豆です。和菓子に使われる緑色のきな粉の原料と聞くと、ピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
調理した姿は、一見すると枝豆のよう。枝豆は未成熟で青い状態の大豆を収穫したものですが、青大豆はしっかり熟して乾燥させても青いままの大豆です。もちろん青大豆を使った枝豆もあり、枝豆で人気の“だだちゃ豆”は青大豆の仲間です。
品種では、主に製菓材料として使われる“音更大袖振(おとふけおおそでぶり)”や、たんぱく質少なめでショ糖を多く含む“キヨミドリ”などがあります。最近では青大豆の豆腐や納豆もあるそうなので、見つけたら是非試してみたいですね。
黄大豆、黒大豆、青大豆以外の大豆
ほかにも、希少な「赤大豆」、緑と黒の2色が珍しい「くらかけ豆」、「白大豆」や「茶大豆」など、さまざまな種類があり、それぞれ更に細かい品種があります。大豆の世界は意外とカラフルで、とても奥深いですね!
黄大豆、黒大豆、青大豆それぞれの用途の違い
黄大豆は、日常的にもよく目にする機会の多い、味噌や豆腐、納豆など植物性タンパク質の代表格。クセが少なく、生産量も多いことからさまざまな大豆加工食品で使われていることもあり馴染みが深い大豆です。
黒大豆は年末年始のおせちの煮豆をイメージすることが多いのではないでしょうか。黒色はアントシアニン系の色素によるもので、ポリフェノールを豊富に含むことで女性に人気の豆茶でも親しみがあります。最近では黒大豆を使った納豆や豆腐も作られているそうですよ。
黄大豆や黒大豆に比べ甘みが強いため、和菓子の食材としてもっともポピュラーな存在の青大豆。仙台が生んだ銘菓「ずんだ餅」は多くの場合枝豆を使用しますが、栽培が難しく流通量も少ない青大豆をつかったものは希少価値が高く人気があります。
黄大豆、黒大豆、青大豆の種類ごとの栄養素は?
私たちの生活に馴染みがもっとも深い黄大豆、おせちのお供といえる黒大豆、和菓子に奥深い甘みを与える青大豆、それぞれの栄養素をチェックしましょう。
引用データ:
文部科学省 食品成分データベース『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』
黄大豆の栄養素
黄色大豆は、すべての栄養素が黒大豆、青大豆にくらべ、平均的にバランスの良い栄養素となっています。
▼黄大豆(いり大豆100g)
エネルギー429kcal/タンパク質37.5g/脂質21.6g/炭水化物33.3g/しょ糖6.7g
黒大豆の栄養素
ふくよかな旨みが特徴の黒大豆は、炭水化物量や脂質が豊富でカロリーが高めです。
▼黒大豆(いり大豆100g)
エネルギー431kcal/タンパク質36.4g/脂質22.0g/炭水化物34.3g/しょ糖7.7g
青大豆の栄養素
青大豆は、タンパク質が豊富で、しょ糖がもっとも多いことから甘みが強いことが特徴です。
▼青大豆(いり大豆100g)
エネルギー425kcal/タンパク質37.7g/脂質20.7g/炭水化物33.9g/しょ糖8.3g
黄大豆の代表選手、フクユタカの特徴とは
国内で生産される大豆の品種にはエンレイ、タチナガハ、リュウホウ、スズユタカなどがありますが、なかでももっとも普及しているものはフクユタカです。
タンパク質が豊富なフクユタカ
栽培地域は主に関東南部から九州地域までの比較的温かい環境で育成されるフクユタカ。最大の特徴はタンパク質が豊富であることです。大豆は元々タンパク質が豊富な食物ですが、数ある品種の中でもフクユタカはタンパク質含有量が多く、質の高い低糖質&高タンパク質な食材として注目したい品種といえるでしょう。
加工に適している大豆、フクユタカ
ほのかな甘みとバランスの取れた味であることから、豆腐に最適な大豆としても有名です。豆腐以外にも多くの加工食品が利用されています。中でも“九州産フクユタカ”は「九州まーめん」の原料でもあります。
品種によって活躍の違いが! ダイエットにオススメの品種は?
大きさも栄養も品種によってそれぞれ。そのため同じ大豆でも、加工によって向き不向きがあります。
例えば、たんぱく質の含有量が多いものは豆腐や加工食品向き、ショ糖や糖質の割合が多いものはコクや甘みが出やすいので豆乳向き、粒そろいが良く適度に発酵するものは納豆向きといった具合です。
「九州まーめん」の原料である“フクユタカ”は、実はダイエッターさん向き。
それは、たんぱく質の含有量が約42%と高く、旨味成分が豊富でバランスのとれた味わいが特徴だから。まさに低糖質ダイエット中の方にピッタリではないでしょうか?
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私たちの食生活では、実にさまざまの品種の大豆たちが活躍しているのだと実感します。いつも食べている大豆加工食品の品種や産地などを確認しながら食べると、また違った楽しみが生まれそうですね!
次回は、多岐にわたる大豆食品についてのお話です。お楽しみに!
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参考:
服部幸應+だいずデイズ大豆研究所(2017)『大豆の学校』OVJ.
農林水産省HP>政策統括官>米(稲)・麦・大豆>大豆のホームページ