日本の伝統行事に欠かせない豆の話

節分まめまき

日本の伝統行事に欠かせない豆の日本の食生活に欠かせない「豆」。
大豆をはじめとしたさまざまな「豆」が日本の美味を彩ってきました。その関わりの深さは、食のシーンだけではなく、古くから伝わる伝統行事からも読み取ることができます。

今回は、文化の面から大豆の魅力を探っていきましょう!

日本は五穀豊穣を願う文化

日本の歴史は、農の歴史と言っても過言ではないほど。日本人は稲を育て、穀物を収穫し、自然の恵みを受けて発展してきました。

そのため、農作物が豊かに実ることは人々にとって何より大切な願いでした。全国各地で五穀豊穣を願う行事が行われてきていることが、その歴史を物語っています。

例えば、私たち日本人にとって最も身近な豊穣行事といえば、お正月ではないでしょうか?
お正月の由来は、元旦に年神様(としがみさま)という神様が、その年の幸福を人々にもたらすために各家庭を訪れるという説にあります。そして、年神様は〈田の神〉なので、もたらされる幸福は五穀豊穣なんだそうです。

由来を知ると、今まで以上にお正月が特別な行事に思えてきますね。

ちなみに五穀は、日本人にとっての主食である穀物を指しており、諸説ありますが、米・麦・豆・粟・きびの5つだと言われています。これぞまさに、日本のソウルフード! 豆(大豆)もしっかり含まれていますよ。
米・麦・豆・粟・きび

大豆を用いた伝統行事の代表格、節分。

さて、大豆を用いた伝統行事というと、やはり節分は外せません。
「鬼は外〜! 福は内〜!」とかけ声を上げながら豆をまくのを楽しみにしている方も多いのでは?

節分まめまき

節分は2月3日ですが、これは春の訪れを告げる立春の前日です。
なぜこの日なのかというと、旧暦では「新年の始まりは立春」とされていたため、立春の前日である2月3日が大晦日の扱いだったことからきています。

大晦日といえば1年を締めくくる日、そして新たな年を迎える日です。そのため、「立春の前日に厄や災難をお祓いしよう!」ということで、節分が始まったとされています。

そして、節分の豆まきに大豆が使われる理由がとっても心強いのです!

もともと穀物には邪気を払う力があると考えられていますが、特に大豆は魔よけに効くとされています。他にも、鬼の目に炒った豆を投げつけたら鬼退治ができたという説や、「魔目(鬼の目)」や「魔滅(魔を滅ぼす)」という語呂合わせからきている説もあります。

こうした由来を知ると、大豆の底知れぬパワーを感じますね。

お正月のおせち料理にも
欠かせない大豆。

もうひとつ、大豆が欠かせないものといえば、おせち料理ですよね。
おせち料理を彩るふっくら甘い黒豆は、大豆の仲間である黒大豆から作られています。

「まめ」は元来、健康や丈夫さ、元気を意味する言葉。
「今年も“まめ”に暮らせますように」「“まめ”に働けますように」という意味が込められています。大豆は私たち日本人にとって、健康を願う縁起物なんですね。

おせち黒豆

ほかにも色々!
豆が関わる行事はたくさんある。

豆が関わる伝統行事は、節分や正月の他にもたくさんあります。地域ごとに探してみると、毎月何らかの豆に関わる行事が全国各地で行なわれていることがわかります。

節分と同じく、邪気払いを目的に行われているのは、京都あたりの慣わしである「大福茶(おおぶくちゃ)」。煎った大豆と昆布、小梅、茶葉を入れたお茶を1月1日に飲むと、邪気が祓われて縁起が良いとされています。

また、小豆の入ったおかゆを食べる「冬至」も、邪気払いをする日として定着していますね。

五穀豊穣に関する行事だと、3月16日の「十六団子」があります。これは農の神様に16個のきな粉団子をお供えして感謝を伝える行事です。また、5月の田植え時期には、縁起担ぎのために、きな粉おむすびを食べる風習もあるそう。

お月見関係でも豆は欠かせません!
中秋の名月である「十五夜」では、お月見団子に豆やイモ、栗などをお供えします。10月の「十三夜」では、枝豆を備えてお月見をするそうです。

健康を願う行事なら、1月6日の「納豆のお年取り」。これは、この日に納豆を食べると、万病の根が抜けていくとされ、新年から病気にならずに健康に過ごせるようにと願うのだそうです。
納豆

こうして挙げただけでも、豆類がいかに日本の文化に根づいているかを実感しますね。

古来から愛される大豆を
食生活に取り入れよう。

伝統文化の視点から豆を考えると、「食べること」「生きること」「健やかであること」といった、人間の土台に関わる願いに深く関わっていることが分かります。
特に大豆の存在はとりわけ大きく、それだけ日本人にとって重要な穀物であり続けている凄さが伝わってきますね。

今でこそ、大豆の栄養やそのパワーについて科学的に研究され、広く知られていますが、昔の人はそういった知識がなくとも「大豆はすごい」と肌で感じていたのかもしれません。

最近でも豆乳や納豆は若い世代にも人気ですが、煮豆や味噌料理などの和食が中心だった時代に比べると、大豆離れが進んでいると言われています。
食生活でも文化面でも、こんなに愛されてきた大豆を日本人が食べなくなっていくのはさみしいと思いませんか?

これをきっかけに、ぜひ大豆の魅力を再発見してみてくださいね!

大豆山盛り

 

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参考:
服部幸應+だいずデイズ大豆研究所(2017)『大豆の学校』OVJ.
池谷敏郎/奥薗嘉子(2018)『医者がすすめる“大豆ファースト”』主婦の友社.
家森幸男(2005)『大豆は世界を救う』法研.