美容や健康、ダイエットを気にする方は、食物繊維が多いといわれる野菜を毎日食べているのではないでしょうか。しかし、それぞれの野菜に含まれる食物繊維について考えたことはありますか?
実は、野菜に含まれる食物繊維のほとんどは不溶性食物繊維。そのためもうひとつの水溶性食物繊維は意識してとらないと不足しがちになるんです。
ここでは、どんな野菜に水溶性食物繊維が多く含まれているのかをランキング形式で紹介しています。毎日の野菜選びの参考にしてくださいね。
水溶性食物繊維とは? 食物繊維の種類について
まずは食物繊維に水溶性と不溶性という種類があるのをご存じでしょうか。また食物繊維がなぜ健康や美容につながるのか、食物繊維をとると体にどのような変化が起こるのかを知っておくと、よりその効果が実感できますよ。
食物繊維とは?
食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のふたつに分けられます。通常食物繊維は体内に消化されないため、野菜を食べても排出されてしまいます。しかし食物繊維は、腸内にたまった老廃物や不要な栄養素も一緒に体の外に出すことで、腸内環境をよくする作用があるため、炭水化物、タンパク質、ミネラル、ビタミン、脂質に次ぐ、第6の栄養素といわれているんですよ。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の機能の違い
不溶性と水溶性の食物繊維の主な違いは、文字どおり水に溶ける性質かそうでないかという点です。
不溶性は体内に入ると水分を吸収し膨張することで、便の量を増やして腸運動を促す働きがあります。一方、水溶性食物繊維は水に溶け込み、腸内にある余分な栄養素を取り込んで不溶性食物繊維と一緒に排出する働きがあります。
不溶性と水溶性は、どちらも大腸で発酵分解されることで善玉菌を増やす働きがあります。二種類の食物繊維が相互的に作用し合うことで腸美人につながるのですね。
しかし野菜に含まれる成分には水溶性食物繊維が少ないという問題点があります。そのため意識して水溶性食物繊維をとることがどれほど大事かについては、次で説明していきましょう。
水溶性食物繊維でいきいき腸活
わかめや昆布のような海藻類は水中では、表面がぬるぬるしていますよね。これはアルギン酸といって、水溶性食物繊維が水で溶けてゼリー状になったものです。
そのほか、野菜や果物に含まれるペクチンという成分も水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は水に溶ける性質なのに腸で消化されない一見不要な栄養素のように思いますが、私たちの体にとって次のような大切な役目をしているんですよ。水溶性食物繊維の3つの働き
・糖分の吸収をおだやかにし、血糖値が急激にあがるのを抑える
・脂質や塩分の吸収をゆるやかにし、むくみの改善や、肥満や生活習慣病を予防する
・大腸で分解されビフィズス菌を増やし、善玉菌の活動を活性化させる
水溶性食物繊維のこれらの機能によって、私たちの美と健康が維持されていることがわかっていただけたところで、どれくらいの食物繊維が必要なのかについて気になりますね。
1日あたりに必要な食物繊維量について
食物繊維の量は、野菜や果物そのほかの食品によって差があります。毎日の食事で野菜を食べるようにしていても食物繊維の量が十分足りているかまでは把握するのは難しいでしょう。
では、どれくらいの量の食物繊維が必要なのかを一緒に確認していきましょう。
日本人は食物繊維量が不足している!?
現代の日本の野菜や果物の消費量は、若者世代を中心に減っているといわれています。厚生労働省による食物繊維の摂取状況調査によると、20代平均が15.1g、30代平均が16.4gとなり、60代の19.4gや70代の20.1gに比べて少ないことがわかります。
欧米のある調査では、大腸ガンや心筋梗塞などからのリスク回避として1日24gを基準に食物繊維をとったところ、これらの病気の発症率が減ったという結果があります。日本人ももう少し食物繊維を、野菜だけでなくいろいろな食品からとることを意識する必要がありそうです。
引用元:厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査「第1部 栄養素等摂取状況調査の結果」
1日に必要な食物繊維の量はどれくらい?
日本人の深刻な野菜不足により、厚生労働省では1日あたりの必要摂取量にプラス3~4gの食物繊維をとるよう推奨しています。ちなみに目標とされる食物繊維の摂取基準量は、18~64歳の男性で21g、女性で18gです。
20~30代の方の摂取量が15~16.4gなので、あきらかに足りていませんよね。毎日野菜や果物を食べている人も、食べる野菜の種類が偏っていないかを一度チェックしてみるといいでしょう。
30代女性はこうして食物繊維を摂るのがおすすめ
食物繊維が不足したり不溶性と水溶性どちらか片方を取り過ぎたりすると、腸内環境の悪化で便秘がひどくなったり、むくみが酷くなったりする可能性もあります。
できるだけ食品で食物繊維をとりたくても、摂取量を増やそうとすると食べる食品の量を増やさなければなりませんよね。一度にたくさん食べられない人や仕事や家事で忙しい人は、サプリメントや栄養補助食品で補うのもおすすめです。
どうしても野菜でとりたいという人は、次に紹介している「不溶性食物繊維が多い野菜ランキング」をぜひ参考にしてみてください。
水溶性食物繊維が多い野菜ベスト5!
水溶性食物繊維を多く含むにはどのような野菜があるのでしょうか。
ここでは水溶性食物繊維が多い野菜トップ5をランキング形式で紹介。ぜひ明日からの食事に取り入れてみてくださいね。
なまらっきょう
水溶性食物繊維の含有量ランキング、堂々の第1位は「なまらっきょう」です。食物繊維総量100gあたり20.7gに対して水溶性食物繊維18.6gと、ほぼ水溶性食物繊維となっています。
らっきょうといえば、カレーの付け合わせやお酒のおつまみとして食べられる甘酢漬けが有名ですが、6~7月に旬を迎える「なまらっきょう」は、サラダなどにして食べられます。
水溶性食物繊維は水に溶ける性質のため、甘酢漬けのらっきょうは、甘酢もほかの料理に利用したいですね。らっきょうは食べ過ぎると胃の負担になることもあるため、1日3~4粒を目安に食べるといいですよ。
引用元:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
乾燥わらび
水溶性食物繊維量ランキング第2位は「乾燥わらび」です。わらびの水溶性食物繊維の量は、なまの状態で100gあたり0.8gと、1位のなまらっきょうに比べるとそれほど多く感じられませんよね。しかし乾燥させることで、約1.3倍の10gにまで水溶性食物繊維が増えます。
また乾燥わらびは、食物繊維だけでなく、葉酸や鉄分、カリウムなどの栄養素も凝縮されているため、保存食品としてストックしておくのもおすすめですよ。
引用元:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
菊のり(干し菊)
食用花として料理に添えられることがある菊の花は、実は野菜に分類されます。水溶性食物繊維の量は生の状態で100gあたり0.8gと少なめですが、なぜ水溶性食物繊維量ランキング第3位なのでしょうか。
それは、この菊の花びらを蒸し広げ、乾燥させた「菊のり(干し菊)」にすることで水溶性食物繊維の量が100gあたり8.2gとなるためです。
菊のりは、天婦羅やおひたし、酢の物など、料理のいろどりとして取り入れられますよ。
引用元:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
かんぴょう
昆布巻きや巻き寿司の具材として使われることが多いかんぴょうが、水溶性食物繊維を多く含む野菜ランキング第4位です。その水溶性食物繊維量は、乾燥状態で100gあたり6.8g。
一般的にかんぴょうは、水で戻してから茹でたり煮たりするため、どうしても水溶性食物繊維が溶け出てしまうという残念な点もあります。
無漂白かんぴょうであれば、戻し汁も一緒に利用ができるため、みそ汁やお吸い物などにして余すことなく水溶性食物繊維をとりましょう。
引用元:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
ドライトマト
抗酸化作用が高いといわれリコピンを豊富に含むトマトも、生に比べて乾燥させた「ドライトマト」にすることで水溶性食物繊維の量が増えます。ランキング第5位のドライトマトの水溶性食物繊維量は100gあたり6.4g。一方、生のトマトだと0.3gです。
ドライトマトは、オーブンや電子レンジを使えば自宅で簡単に作れるんですよ。傷みやすいトマトを乾燥させることで保存もきいて、さらに旨みや栄養素がぎゅっと濃縮されるので、一度試してみる価値がありそうですね。
引用元:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
大豆製品も水溶性食物繊維が豊富
ここまで水溶性食物繊維を多く含む野菜をランキングで紹介してきましたが、実は水溶性食物繊維は大豆にも含まれています。ちなみに大豆は粉末状にすることで食物繊維量が増えるだけでなく消化吸収もよくなります。
粉末状大豆の水溶性食物繊維総量は100gあたり7.6gと、ランキング第4位のかんぴょうよりも多いことがわかります。
九州まーめんは100%大豆でできています。食物繊維の量は1玉あたり6.2g。主食としてアレンジがいろいろ楽しめ、食物繊維を美味しく手軽に摂取できます。食物繊維を取りたいけれども野菜が苦手という方におすすめですよ。
▼【糖質5.1g】大豆100%の麺
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引用元:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
食物繊維で美腸を手に入れて便秘や肌荒れ悩みを解消!
この記事では、食物繊維のうち、特に不足しがちな水溶性食物繊維について解説してきました。今回紹介したランキング上位の野菜のなかには季節のものもありますが、これらの野菜を意識して食べることで必要な食物繊維量を補えます。
水溶性食物繊維を上手に吸収することで美腸になり、便秘や肌荒れといったトラブル解消にもつながりますよ。
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参考:
『食物繊維の働きと1日の摂取量』-公益財団法人長寿科学振興財団