「レタス2個分の食物繊維」といった表記を見かけたことはありませんか?このような表記がされているということは、レタスは食物繊維が豊富な野菜だと思ってしまいますよね。しかし実はレタスは食物繊維が多いとはいえない野菜なのです。実際どのくらいの食物繊維が含まれているのでしょうか。
この記事では、レタスに含まれる食物繊維の量や、食物繊維が多い野菜と思われている理由、レタスの栄養素、おすすめレシピを紹介します。レタスの食物繊維や栄養を知ることで、正しく利用できるようになるでしょう。
レタスの食物繊維
レタスの食物繊維は、100gあたり1.1gです。レタス1玉だと約300gになるため、3.3g程度の食物繊維量になります。この数字を見た方は「1玉食べても3.3gって、実はレタスの食物繊維は少ないのでは……」と思いますよね。そのとおりで、レタスの食物繊維は野菜の中でも少なめ。
その理由は、レタス100gに含まれる成分のうち、95.9gが水分であるためです。レタス特有のみずみずしさを考えると、納得ですよね。では、そのほかのレタス類の食物繊維はどうなのでしょうか。
サニーレタスは食物繊維が100gあたり2.0g、サラダ菜は100gあたり1.8g、サンチュは100gあたり2.0gです。レタス類の中でも通常のレタスは、食物繊維をあまり含まないことが分かりました。
レタスに含まれる食物繊維の種類
レタスに含まれる食物繊維は2種類です。100gあたり水溶性食物繊維0.1gと不溶性食物繊維1.0gが含まれます。
水溶性食物繊維には水に溶けやすい性質があり、善玉菌のエサになったり、血糖値の上昇をおだやかにしたりする働きがあります。水に溶けるとドロドロのゲル状に変化し、胃腸内をゆっくりと移動することから、腹持ちがよくなるのも特徴です。
不溶性食物繊維には水に溶けにくい性質があり、胃腸内で水分を吸って膨らみます。そのため、不溶性食物繊維を含む食品を食べると満腹感を感じやすくなるのです。また腸に移動すると便のかさを増やして、排便量や排便回数を増やします。ただし、ひどい便秘の場合は腸の動きが鈍くなっているため、増えた便を動かしきれずさらに便が詰まってしまうこともあるため、注意しましょう。
レタスとキャベツを比較
同じような形をしているレタスとキャベツですが、食物繊維の量に違いはあるのでしょうか。
レタスには、100gあたり1.1gの食物繊維が含まれます。一方キャベツは100gあたり1.8gの食物繊維が含まれていることから、キャベツのほうが多く食物繊維を含んでいることがわかりますね。
なぜレタスが食物繊維豊富という扱いに?
これまでの説明で、レタスにはあまり食物繊維が含まれないことが分かりました。しかし、食物繊維が豊富とうたっている商品には「レタス〇個分の食物繊維」と書かれていることも。お世辞にも食物繊維が豊富とはいえないレタスが、なぜ食物繊維豊富な野菜の代表格になったのでしょうか。
レタス〇個分の表記に注意
パッケージに「レタス3個分の食物繊維を配合」と書かれていると、食物繊維がとても多く含まれているように感じますよね。それは、レタスを丸ごと1個食べるのは大変だからです。
きんぴらごぼう小鉢1杯分でレタス1個分の食物繊維量に相当しますが、「きんぴらごぼう小鉢1杯分の食物繊維を配合」と書いているとどう感じますか?簡単に食べられる量なので、あまり食物繊維を多く含んでいるように感じにくいのではないでしょうか。このような脳の錯覚を利用した表記には、気を付ける必要がありますね。
レタスに含まれるエネルギー量と栄養素
レタスには食物繊維が少ないとなると、食べる意味がないのではと思ってしまうかもしれませんね。しかし、レタスには葉酸やカリウム、βーカロテンなどの栄養素が多く含まれています。
葉酸
葉酸は血液をつくるのに役立ったり、細胞の合成や生産に必要だったりするビタミンです。不足すると、貧血症状が出ることも。
レタスの葉酸の量は100gあたり73μgです。成人男性・女性ともに1日の推奨量は240μgであることから、1/3程度の量が確保できます。なお、サニーレタスは100gあたり120μgです。通常のレタスよりも葉酸が多いので、こちらを利用するのもいいでしょう。
カリウム
カリウムには体内の余計な塩分を排出する働きがあります。塩分過多な食生活を送っている日本人にとって、必要不可欠なミネラルですね。
カリウムは100gあたり200mgです。成人男性の目安量が2,500mg、成人女性は2,000mgであることから、1/10~1/12程度の量が確保できます。サニーレタスは100gあたり410mgのカリウムを含むため、カリウムを摂取したい場合は、サニーレタスを選ぶのもおすすめです。
βーカロテン
βーカロテンは野菜に含まれるビタミンで、必要に応じて体内でビタミンAへと変換されるのが特徴です。皮膚や粘膜の健康維持に役立ったり、免疫機能の強化に役立ったりします。
レタスからは、100gあたり240μgのβーカロテンが摂取可能です。成人男性の推奨量は850~900μgRAE、成人女性は650~700μgRAEであることから、1/3程度の量が確保できます。サニーレタスの場合は、2,000μgのβーカロテンを含むため、50gも食べれば1日の必要量が確保できることに。
レタスは低カロリー&低糖質でダイエット中にもピッタリ
さらにレタスは100gあたり11kcalと低カロリーです。糖質も100gあたり1.7gと低糖質なのが特徴。サニーレタスも100gあたり15kcal、糖質は1.2gとこちらもヘルシー。1玉丸ごと食べたとしても、約33kcalしかありません。
このことから、ダイエット中にピッタリな野菜といえますね。
レタスの栄養素を活かす食べ方
レタスに多く含まれる栄養素のうち、葉酸とカリウムは水に溶けやすい性質があります。そのため、切ったレタスを長時間水にさらしたり、茹でたりすると栄養素が少なくなってしまうのです。
レタスに多く含まれている栄養素を活かすのであれば、生食がおすすめです。もし加熱する料理に使うのであれば、短時間ですませる、茹で汁ごと使えるスープにする、といったポイントを覚えておきましょう。
レタスの栄養素たっぷりとれるおすすめレシピ3選
ここからは、レタスの栄養素をたっぷりとれる、ヘルシーレシピを3つ紹介します。
豚バラ肉のレタス巻き
材料:豚バラ肉薄切り、レタス、塩こしょう、ポン酢
千切りにしたレタスを、豚バラ肉で巻いていきます。耐熱皿に乗せて上から塩こしょうを振り、ラップをふんわりとかけたら電子レンジで5分程度加熱しましょう。豚肉に火が通ったらポン酢をかけて完成です。
電子レンジで調理することで、ビタミンやミネラルの流出が防げます。加熱するとレタスのかさが減るので、たくさん食べられるのもポイントです。
レタスとカニカマの塩昆布和え
材料:レタス、カニカマ、塩昆布、レモン汁
適当な大きさにちぎったレタスと、ほぐしたカニカマをボウルに入れ、塩昆布とレモン汁で和えたら完成です。
少ない材料でパパッとでき、量もたくさん食べられるのがおすすめポイントです。
牛肉とレタスのさっぱり炒め
材料:牛こま切れ肉、レタス、パプリカ、醤油、酒、砂糖、酢
レタスは適当な大きさにちぎり、パプリカは千切りにしておきます。熱したフライパンで牛肉を炒めます。火が通ったらパプリカとレタスを加えてさっと炒め、調味料で味を整えたら完成です。
レタスはかさが減るので、たっぷりと使うのがおすすめです。酢のおかげでさっぱりと食べられますよ。
食物繊維よりもほかの栄養素に注目してみよう
レタスは水分量が多い野菜であるため、100gあたり1.1gしか食物繊維が含まれていません。「レタス〇個分」という表記がされているケースもありますが、過信しないようにしましょうね。
ただし、レタスには葉酸やカリウム、βーカロテンなどの栄養素が多く含まれています。特にサニーレタスに多く含まれるので、必要に応じてうまく使い分けてみましょう。
レタスは低カロリーかつ低糖質の野菜なので、ダイエット中にもピッタリです。ぜひ上手にレタスを食生活に取り入れてくださいね。
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参考:
『【管理栄養士が解説】レタスのカロリーは?1枚・1玉の場合や種類による違いも解説 』- 株式会社ロコガイド
『食品成分データベース・野菜類/(レタス類)』-文部科学省
『日本人の食事摂取基準(2020 年版)の概要』-厚生労働省