大豆はDAIZUに! 世界で広がる大豆ブーム

日本で長く愛されてきた大豆。中国や韓国でも昔から食べられており、東アジア圏ではごく身近な存在といえますよね。

大豆は20世紀初頭までアジア圏のごく限られた地域でしか栽培されておらず、欧米で大豆が積極的に食べられるようになったのはつい最近の話なんです。栽培自体が、ここ100年ほどで一気に世界へ広まった穀物というから驚きです。

私たち日本人は昔から、お豆腐や豆乳、納豆、お味噌、醤油、枝豆などいろいろな形で食べてきましたが、昔の西欧の人たちにとって、大豆はあくまでも「家畜のエサとしての穀物」という認識が中心だったそうです。

それがここ20年ほどでどんどん状況が変化し、主に欧米で大豆の需要がグンと増えてきたというのです。どんな風に広がっていったのでしょうか?

 

「健康にいいから食べましょう」と
アメリカ政府が推奨したことがきっかけ

大豆が健康食材として欧米で知られるようになったきっかけで最も影響が大きかったのは、アメリカ政府のキャンペーンだと言われています。

「大豆たんぱく質は、心臓病・脳卒中の予防に有効!積極的に食べましょう」と、FDA(米国食品医薬品局)が1999年に大豆キャンペーンを行ったのです。

アメリカでは、3人に1人が深刻な肥満、5人に1人が心臓疾患を抱えているといわれ、大きな社会問題になっています。そんな肥満大国アメリカで、コレステロールを下げるのに役立つ食材として大豆が注目されだし、研究も盛んに行われるようになりました。その結果、少しでも食生活から改善を図りたいと考えたFDAのキャンペーンが、大豆の機能性をアメリカ中に広く知らせることになったのです。

世界で注目度が高まっている大豆製品

それまで、アメリカでは大豆製品を買える場所はオーガニックマーケットなどのニッチなところしかありませんでしたが、この頃からニーズが増えだし、大手スーパーマーケットなどで豆乳や豆腐が手軽に購入できるようになったと言われています。

急速に広がった大豆ブーム。古くから大豆を食べてきた日本とは少し違う広がり方をしたようです。欧米ではどんな大豆製品が人気になったのでしょうか?

その一部をご紹介しますね。

 

映画館が、
枝豆ブームに一役買っていた

アメリカでは枝豆が大人気で、そのまま「edamame」の呼び名で通じるほど。枝豆人気も、大豆ブームのひとつです。

定番おつまみの枝豆

その火付け役は、なんと映画館! 映画好きなアメリカ人にとって、映画館で食べるおつまみはポップコーンやポテトチップスが定番でした。そこに、「もっと健康的なスナックを」とカップに入った塩ゆでの枝豆を販売したところ、ヘルシー志向の人たちに大ウケ。

それから、ちょっとしたおつまみの代替として枝豆が広く食べられるようになったそうです。今ではオーソドックスな塩ゆでから、ピリ辛味、ガーリック風味、ロースト風味など、さまざまなフレーバーで楽しまれているそうです。このあたりが、日本の楽しみ方とちょっと違って面白いですね。

 

ヴィーガンやベジタリアンに大人気!
大豆ベースの植物性代替肉

いま健康対策だけではなく、環境問題や動物愛護などの観点から、ヴィーガンやベジタリアンといった菜食主義になる欧米人が増えています。最近の日本でも耳にするようになりましたよね。

とはいえ、やはり欧米諸国のグルメは肉食メイン。肉食を完全に取り除く食事はなかなか大変なようで、植物性代替肉(フェイクミート)の需要が高まっているそうです。

そこで活躍しだしたのが大豆をはじめとする豆類でした。大豆やえんどう豆などをベースに、本物の肉のような味わいを持つ代替肉が数多く発売されるようになり、一大ビジネスとなっています。最近では、コーンフレークで有名な大手メーカーが、代替肉ビジネスへの参入を表明しました。(2019年9月時点)健康面、環境面どちらからも、大豆への信頼度がますます高まりそうですね!

ハンバーガーのイラスト

 

世界的なプロテインブームで
大豆の需要もアップ

ひと昔前までは、「本格的に体を鍛える人が飲むもの=プロテイン」でしたが、最近は健康や美容のために日常でプロテインを摂る人が増え、世界的なプロテインブームとなっています。

ドリンクやゼリータイプからプロテインバーまで、形態もさまざま。その中でも、植物性たんぱく質が摂れると人気なのが大豆から作られる「ソイプロテイン」ダイエットや美容目的のプロテインとして特に女性からの支持が高く、もちろんそのヘルシーさも人気理由のひとつです。ますますブームが広がりつつあるプロテインの世界でも、大豆の人気がうかがえますね。

プロテインを飲む女性

 

大豆人気から見えてくる、
世界の健康志向

このように各所で起こっている大豆ブームの一部を見るだけでも、日本だけではなく世界的に「健康的な食生活を送りたい」という志向が主流になってきていることを実感します。

「ヘルシーな植物性たんぱく質を、健康や美容のために摂取したい」という動機が、スーパーフード・大豆への需要を後押ししているといえるのではないでしょうか。

その点、日本には大豆製品の選択肢がたくさんあるのはうれしいところ。大豆のチカラをおいしく摂れる選択肢のひとつとして、「九州まーめん」も今まで以上に皆さまの食生活のお役に立ちたいと願うこの頃です。

次回は、知っているようで知らない大豆が含むビタミンに迫ります。
→大豆ライフのススメ「実はスゴい! 大豆が誇る6つのビタミン 〜B1・B2・C・K・E・葉酸〜」

 

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参考:
服部幸應+だいずデイズ大豆研究所(2017)『大豆の学校』OVJ.
麻生れいみ(2019)『体が変わる!主食がわりの大豆レシピ』主婦の友社.
池谷敏郎,奥薗壽子(2018)『医者がすすめる”大豆ファースト”』主婦の友生活シリーズ.