甘くてホクホクした食感がおいしいさつまいも。秋になるとさつまいもが出回り、つい食べたくなりますよね。ただ、甘くてホクホクしているということは、糖質量が多い食べ物です。
これだけを聞くと、さつまいもは「ダイエット中はNGな食べ物」と思ってしまいますが、実は「ダイエット中でもOKな食べ物」です。
この記事では、さつまいもの糖質量を解説するとともに、なぜダイエットに役立つのか解説していきます。
さつまいもの糖質
ここでは、さつまいもの糖質量について説明していきます。
さつまいも100gあたりの糖質量
さつまいも(皮つき)の糖質量は100gあたり30.3gです。平均的なさつまいもの大きさは200g程度になるので、1本食べると糖質量は60.6gに。同じいも類で比べても、じゃがいも100gが16.1g、長芋100gが12.9gなので、さつまいもはいも類の中でも糖質量が多めです。
生と加熱したときの糖質量の違い
さつまいもは生と加熱したときでは糖質量が変わります。生(皮つき)は30.3gに対し、加熱した(焼き・皮なし)状態だと35.5gまで増えるのです。これは、じっくり加熱することででんぷんが糖に変換されるから。実際、焼きいもなどはとても甘いですよね。ただし、蒸したさつまいもの糖質量は29.9gと、生の状態とあまり変わりません。
糖質量が増えると血糖値も上がりやすくなるので、ダイエットに役立てるなら蒸すか、またはゆでたさつまいもがおすすめです。
ダイエット中にも役立つ理由は「食物繊維」と「低GI値」
さつまいもは糖質が多い食品なのに、ダイエットに役立つなんて不思議な話ですよね。ここからは、なぜさつまいもがダイエットに適しているのか、くわしくお伝えします。
いも類の中で食物繊維の量はダントツ
まず、主ないも類の食物繊維を比べてみました。
100gあたりの食物繊維総量
●さつまいも(皮つき)/2.8g
●じゃがいも/1.3g
●長芋/1.0g
不溶性食物繊維は胃腸で水分を吸って膨らむ特性があるので、「お腹で膨らんで満腹感をサポート」「便のかさましをし、排便量や回数を増やす」といった効果が。水溶性食物繊維は胃腸内で溶けてドロドロになり「善玉菌のエサになり腸内環境を整える」「血糖値の急上昇を防ぐ」という効果をもたらします。この表を見ても分かるように、いも類の中では食物繊維の量がダントツです。なお、食物繊維は2種類に分けられ、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。
さつまいもには、不溶性食物繊維が1.8g、水溶性食物繊維が0.9gとどちらもバランスよく含まれているので、糖質量が多くてもダイエットに役立つといえるのです。
加熱したさつまいもを冷やすと効果アップ
加熱したさつまいもを冷やすと、ダイエット効果がアップします。
さつまいもにはでんぷんが多く含まれているのですが、通常でも消化吸収がいいでんぷんは冷やすことで、「レジスタントスターチ(消化しにくいデンプン)」という物質に変化します。
レジスタントスターチは、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維両方の効果をあわせ持っている、すぐれた成分です。4℃以下の状況でゆっくり冷やすとレジスタントスターチに代わりやすくなります。粗熱をとったさつまいもを冷蔵庫に入れて、レジスタントスターチを増やすといいでしょう。
ただし、生のさつまいもを冷やしてもレジスタントスターチには変化しません。むしろ低温障害で黒く変色してしまうので、冷やすなら加熱後に試してくださいね。
糖質量が多いのに低GI食品
まずGIとは、グリセミック・インデックスの略で、食品に含まれる糖の吸収されやすさを示す数値です。分かりやすくいうと、その食品を食べたときにどれだけ血糖値が上がるかを数値化したもの。オーストラリアのシドニー大学では、GI70以上を高GI食品、GI56~69を中GI食品、GI55以下を低GI食品と定めています。
さつまいも(ゆでた場合)はGI値が44なので低GI食品です。糖質量が多くても、血糖値が上がりにくく脂肪に変わりにくいことから、ダイエット向き食品だともいえます。
さつまいもは低GL値
また、さつまいもはGL食品という特徴もあります。
GLとはグリセミックロードの略で、一般的に食べる量をとったとき、どれくらい血糖値が上がりやすいかを数値化したもの。たとえば、かぼちゃのGI値は71と高GI食品に分類されますが、あくまでも250g食べたときの話です。かぼちゃ1/4個に相当するので、普通はそこまで食べませんよね。GL値(80g食べた場合)を見ると12と少なめ。
このように、GI値だけ見るとダイエット向きでなくても、GL値つまり実際食べる量を見ると意外と血糖値が上がりにくく、ダイエットに役立てられる食品もあるのです。
そこであらためてさつまいもについてみてみると、ゆでたさつまいもはGL値が13とかなり少なめです。
さつまいもはGI値、GL値ともに低いことからダイエットに役立つ食品といえるでしょう。
ダイエット中にさつまいもを食べるときの3つの注意点
さつまいもは食物繊維が多く、低GI食品、さらにGL値も低いことから、ダイエットに役立つと説明してきました。しかし、注意点を守らないとダイエットに役立つどころか、太る原因になってしまいます。
ここからは、さつまいもを食べるときの注意点を3つお伝えします。
1.皮付きのまま食べるのがおすすめ
さつまいもの皮にも食物繊維が多く含まれています。口当たりが気になり、つい皮をむいて調理する方もいますが、ダイエットを意識するなら皮ごと食べましょう。蒸したりゆでたりすると、比較的皮が気になりにくいですよ。
また、さつまいもの皮付近にはヤラピンという成分が含まれています。さつまいもを切ったときに出てくる、白いネバネバの液体のことです。ヤラピンにも整腸作用が期待できるので、皮ごと食べてみましょう。
2.砂糖やはちみつなど甘味料の添加はNG
当然ですが、砂糖やはちみつなどで甘みをプラスするのはNGです。さつまいも自体は血糖値が上がりにくくても、砂糖などをプラスすることで血糖値が上がりやすくなってしまいます。
つい甘くしてスイーツのように楽しみたいところですが、ダイエット中はさつまいもそのものの甘さを楽しみましょう。
3.過剰に食べると太る原因に
いくらダイエットに効果的な要素がそろっているとはいえ、食べすぎは太る原因になります。ごはんの代わりに毎日食べていると糖質やカロリーオーバーしてしまうので、適量を守りましょう。
おすすめはおやつに1/2本(100g程度)食べること。血糖値が上がりにくいので、長時間満腹感をキープできますよ。夜ご飯の食べすぎも防げるでしょう。
さつまいもは糖質量が多くてもダイエット向き
さつまいもは糖質量が多い食品ですが「食物繊維が豊富」「低GI食品」「低GL値」という特徴を持つことから、ダイエット向きだといえるでしょう。
ダイエット効果を高めるなら「冷やして食べる」「皮つきのまま食べる」を意識してください。また、いくらダイエット向きとはいえ、砂糖をプラスしたり、食べすぎたりすると太る原因に。
注意点を守って、おいしくダイエットに役立ててくださいね。
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参考:
さつまいものカロリー グラムのわかる写真館 -簡単!栄養andカロリー計算
【焼き芋ダイエット】便秘改善に “冷やした焼き芋” 脂肪の蓄積や血糖値の上昇を防ぐ効果も – 特選街web
CiNii 論文 – さつまいもの加熱調理方法の違いによるレジスタントスターチ量と不溶性食物繊維量について
今さら聞けない? 糖質制限とGI・GLの正しい関係 -ハウス食品グループ本社
主要な食品のGI値、一食分の糖質量およびGL値-Health Literacy
シドニー大学GI検索-THE UNIVERSITY OF SYDNEY
さつまいもの加熱調理直後、冷蔵保存及び再加熱によるレジスタントスターチ量の変化- 宮城教育大学紀要(PDF)