ダイエットになぜタンパク質が重要なの? 基礎知識と摂取方法を紹介

ダイエットとたんぱく質の関係

「お腹周りがちょっと気になってきた」「微妙に体重が増えてきた」など、体型が気になりはじめると頭をよぎるのは「ダイエットしなきゃ!」という気持ち。ダイエットをはじめると野菜サラダなどを中心の食生活になりがちですが、肉や魚、卵などに多く含まれるタンパク質もダイエットには欠かせません。

そんなダイエットとタンパク質の関係を解きほぐしながら、どのような食材をチョイスすればダイエットに効果的か解説します。特にタンパク質を豊富に含む高タンパク質食材について、その効能と必要な量も紹介しましょう。

 

ダイエットとタンパク質の不思議な関係

ダイエットとたんぱく質の不思議な関係

タンパク質はダイエットに欠かせない、ということはよく聞きますが、そもそもタンパク質とはどのような栄養素なのでしょうか。タンパク質の基本とその効果について紹介します。

 

タンパク質は身体づくりの基本

タンパク質は体の約20%を占め、糖質、脂質とあわせて三大栄養素の一角をなす栄養素。

タンパク質は英語表記すると「Protein(プロテイン)」で、語源はギリシャ語の「Proteios」に由来し、意味は「第一となるもの」だそう。身体にとっていかに大切な栄養素なのか、古くから知られていたのですね。

ヒトの身体の約60%は水分で出来ていますが、その水分を除くと残りの半分がタンパク質になり、身体を形作るうえで量も質も重要な原料といえるでしょう。

 

タンパク質はストレス予防や集中力も高める効果も

タンパク質は、身体を作り上げる役目だけではなく、意欲や記憶をつかさどる「ドーパミン」や精神の安定化を図る「セロトニン」などの脳内神経伝達物質を作り出す源です。

そのため、タンパク質が不足すると集中できなくなったり、イライラしたりしはじめます。このように心の調子を整える意味でもタンパク質の摂取は重要な役割を担っています。

 

高タンパク質がダイエットに不可欠な理由

高たんぱく質とダイエット

身体づくりに欠かせないタンパク質がダイエットに不可欠な理由について解説しましょう。

タンパク質は身体にとどめておくことができないため、毎回の食事で適切に摂取しなければなりません。また脂肪にはなりにくい栄養素であることも重要なポイントです。

 

タンパク質は体内に貯めておけない

タンパク質は体内で一定に保たれ、不要となったタンパク質は分解されてアミノ酸となり、不要になれば肝臓で尿素となって腎臓に送られて尿として排泄されます。このようにタンパク質は常に分解と合成を繰り返しているため身体に貯めておくことができません。

タンパク質はアミノ酸がつながった大きな分子でタンパク質のままでは体内に吸収できません。食事によって摂取後、消化酵素によってアミノ酸に分解され、そのアミノ酸が小腸などで吸収されます。吸収されたアミノ酸は肝臓に運ばれたのちにタンパク質として合成され、血液によって各組織へ運ばれ、筋肉や内臓などの材料として使われるのです。

出典:帯広畜産大学『食品栄養学(タンパク質)』

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)たんぱく質』

 

タンパク質は脂肪になりにくい

タンパク質は身体に必要な量が決まっていますが、その量を超えて摂取したものはどうなるのでしょうか。

身体に貯めておくことができないタンパク質は、理想量を超えた分については排出されます。そのためタンパク質は三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)の中で一番脂肪になりにくいと言われている栄養素です。

しかし、タンパク質は必要な分以外は排出されても、食材と一緒に入ってきた脂質や糖質は身体に吸収されます。たとえば、脂ののった高カロリーなお肉ばかり食べているのであれば、タンパク質と一緒に余分な脂質や糖質まで食べることになり、その脂質や糖質は脂肪として身体に蓄積されるので注意が必要です。

 

ダイエット時に摂取したいタンパク質が豊富な食材

たんぱく質が豊富な食材

ダイエットするときにどのような食材からタンパク質をとるといいのでしょうか。高タンパク質食材がもたらす効果についても確認しましょう。

 

ダイエットで押さえておきたい高タンパク質

タンパク質の割合が多い高タンパク質の食材を摂取することで得られる効果は2つあります。ひとつはダイエットの大敵、食欲を管理する働きを促すこと。もうひとつが脂肪の燃焼を促す効果があることです。

高タンパク質食材を摂取するとコレシストキニンという食欲を抑制するホルモンが分泌され、満腹感が高まります。また、タンパク質を構成するアミノ酸にはリパーゼという脂肪分解酵素を活性化する作用があり脂肪を燃焼しやすくするのです。 そのため、ダイエットにはタンパク質、特に高タンパク質食材が欠かせないというわけです。

 

ダイエットに最適な高タンパク質食材とは?

高タンパク質食材の代表格は肉、魚、卵、乳製品、大豆製品があげられます。これらの食材を適切に摂取することでダイエット時に必要な「身体作りをサポートしながら、脂質や糖質は控える」ことが可能になります。

タンパク質が豊富でエネルギーの素は少ないのが理想です。エネルギーの素となるのは糖質と脂質なので、糖質と脂質が少なければ低エネルギーになりますね。 同じ肉類でも牛リブロースは高エネルギーで、赤身は低エネルギー。部位によってエネルギー量が異なる点に注目しましょう。

●肉類
【低エネルギー】
牛赤身・牛肩・牛ヒレ・牛もも
豚赤身・豚肩・豚ヒレ・豚肩ロース・豚もも
鶏ささみ・鶏むね
羊全般

【高エネルギー】
牛リブロース・牛サーロイン・牛バラ
豚ロース・豚バラ
鶏もも

●魚類
【低エネルギー】
あじ・いわし・さけ・たら・ほっけ・まぐろ赤身・えび・いか・たこ

【高エネルギー】
うなぎ・銀だら・サバ・さんま・ぶり・まぐろトロ

卵類
【低エネルギー】
鶏卵(全卵)・ウズラの卵

【高エネルギー】
鶏卵(卵黄)

乳類
【低エネルギー】
牛乳・ヨーグルト全般・モッツァレラチーズ

【高エネルギー】
生クリーム・クリームチーズ・パルメザンチーズ

豆類
【低エネルギー】
豆腐全般・納豆・豆乳

【高エネルギー】
油揚げ・生揚げ

 

ダイエットで意識したいタンパク質の摂取ポイント

たんぱく質摂取のポイント

実際にタンパク質はどれくらい摂ればいいのでしょうか。また、一度にまとめて必要な量を摂取してもいいのでしょうか。必要な量と摂取の仕方について説明しましょう。

 

適切なタンパク質の摂取量とは?

タンパク質は成人男性で60g成人女性で50gの摂取が一日に必要と言われています。例えば牛肉肩の赤身で100gに20.2gのタンパク質なので、牛肉だけで必要なタンパク質を補おうとすると、成人男性の場合300gの赤身肉が必要になるという計算になります。

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要』

出典:文部科学省『食品成分データベース』

 

タンパク質は「こまめにとる」のが基本

タンパク質は成人男性で60gの摂取が必要であれば、夕食でしっかり300gのステーキを食べよう!というのは間違いです。なぜならば一度の食事で体内に摂取できる量が決まっているため、それ以上を摂取すると「余分なもの」となってしまいます。

1回の食事でタンパク質は約20gずつ摂取するのが理想とされていますので、成人男性なら朝、昼、夜の3回に分けたとするとちょうど一日に必要なタンパク質の量と合致します。タンパク質を三食でバランスよく食べる、つまりこまめに分けてとるというのが基本です。また、一度に摂取してしまうと摂取できなかったタンパク質は排出され、タンパク質以外の脂質や糖質は、余分に摂取することになるので注意しましょう。

 

ダイエットを良質なタンパク質で成功に導こう

ダイエットする女性

ダイエットにはタンパク質の摂取が不可欠です。できればタンパク質には余分な脂質や糖質を多く含む高エネルギー食材ではなく、脂質や糖質が少ない低エネルギー食材をチョイスしましょう。

しかも、一回の食事で摂取しようとしても一度に一日分のタンパク質をすべて吸収することができないので、必要以上のタンパク質は排出されてしまいます。さらに、食材に含まれる過剰な脂質や糖質は身体に貯めてしまうというムダが起こります。

そのため、三回の食事で適切な量を食べることがなにより重要。つまり、ダイエットを成功に導くためには、良質なタンパク質を食事ごとに適切な量で摂取する必要があります。今一度食事のバランスに着目したメニューを考えてみましょう。

 

 

…………………………

参考: 

たんぱく質がカラダをつくる!‐ミルクプロテインのチカラ!-明治

「疲れやすい」のは、 脳の栄養不足が原因!?-大正製薬

タンパク質を摂りすぎると太る!?理由は?量はどれくらい?徹底解説!‐readcare

人間の体はタンパク質でできている。タンパク質・アミノ酸・ペプチドの関係を解説‐森永製菓

高タンパク質低エネルギー食品を紹介!簡単レシピと外食メニューの選び方も合わせて解説‐森永製菓

なぜダイエットではタンパク質を摂るといいの?‐食べ過ぎ防止委員会

タンパク質の摂りすぎは危険!?過剰摂取による影響とは‐グリコ

食品成分データベース‐文部科学省 1─2 たんぱく質‐文部科学省(引用)

日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要‐文部科学省(引用)