「炭水化物をとり過ぎると太る」「炭水化物のとり過ぎはよくない」と思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、炭水化物を一切とらない生活は、逆に体によくありません。ダイエット中であっても、適度に炭水化物をとるようにしましょう。
この記事では、炭水化物がどういったもので、どんな働きをするのか、1日にどれくらいとればいいのかを解説します。炭水化物が多い食品・少ない食品も紹介しますので、毎日の食事の参考にしてください。
炭水化物とは? 働きを紹介
ダイエット中の方のなかには「炭水化物は体に悪い!」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、炭水化物がどんなもので、どういった働きをしているのかを知れば、一概に悪いものとは言えないことがお分かりいただけるかと思います。
まず、炭水化物がどういうものなのかを知りましょう。
炭水化物=糖質+食物繊維!
炭水化物とは、食品に含まれる糖質と食物繊維のことです。
「炭水化物が多く含まれる食品」とひと口に言っても、糖質が多く含まれているのか、食物繊維が多く含まれているのかで、太りやすさやカロリーが変わります。
炭水化物が多く含まれる食品を食べるときは、炭水化物の内訳にも注目してみましょう。
糖質の働き
炭水化物のうち糖質は、私たちの体を動かすのに欠かせないエネルギー源です。
糖質には、でんぷんやオリゴ糖、糖アルコールなどがあります。
糖質のとり過ぎは肥満につながるので、ダイエット中の方はもちろん、そうでない方も糖類のとり過ぎに注意しましょう。
食物繊維の働き
炭水化物から糖質を除いたものが食物繊維です。食物繊維には、私たちの体では消化・吸収できないという特徴があります。
食物繊維は不溶性のものと水溶性のものがあり、それぞれ働きが異なるので、バランスよくとるようにしましょう。
不溶性食物繊維は、腸の運動を促し、おなかの調子を整えてくれる食物繊維です。
一方、水溶性食物繊維は水を含むとゲル状になり、食べたものの消化や吸収のスピードを緩やかにして、血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。
炭水化物の1日あたりの摂取目安量は?
では、炭水化物は1日にどれくらい摂取すればいいのでしょうか?炭水化物の摂取目安量ととりすぎた場合のリスクをお伝えします。
炭水化物の摂取目安量は1日の摂取カロリーの50~65%
炭水化物の摂取目安量は、1日の摂取カロリーの50~65%です。
私たちの体のエネルギー源は、タンパク質・脂質・炭水化物の3つに限られます。体を健やかに保つためには、この3つをバランスよくとることが重要です。
タンパク質・脂質・炭水化物のバランスは「PFCバランス」で表されます。PFCとは、タンパク質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)の頭文字をとったものです。
理想的なバランスは
タンパク質:13~20%
脂質:20~30%
炭水化物:50~65%
とされています。
1日の摂取目安カロリーが2,000kcalの人であれば
タンパク質:260~400kcal
脂質:400~600kcal
炭水化物:1,000~1,300kcal
が摂取量の目安です。
炭水化物をとり過ぎるとどうなるの?
「炭水化物って、意外と食べてもいいんだ!」「ダイエット中でも、一切食べないのはNGなんだ」ということがわかっていただけたかと思いますが、炭水化物のとり過ぎにも注意が必要です。
炭水化物のうち糖質をとり過ぎると、食後の血糖値が急激に上昇します。
すると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、血液中の糖をエネルギーに変えて筋肉や肝臓にため込みます。しかし、糖質のとり過ぎなどでインスリンが分解しきれず余ってしまった糖質は中性脂肪に変換されて、体に蓄えられてしまうのです。
以上のことから、糖質のとり過ぎは肥満につながるといえます。
一方、食物繊維のとり過ぎは何も問題がなさそうに思えますが、こちらも注意が必要です。
不溶性食物繊維のとり過ぎは便秘を悪化させるおそれがあり、水溶性食物繊維のとり過ぎは下痢や軟便の原因になります。
糖質も食物繊維も、とり過ぎは体に毒です。1日の摂取目安量を参考に、とり過ぎに注意しましょう。
炭水化物が多い食品・少ない食品一覧
ここからは炭水化物が多い食品・少ない食品を紹介します。それぞれに含まれる炭水化物の量を知って、バランスのいい食事を考える際の参考にしてください。
炭水化物が多く含まれる食品
炭水化物が多く含まれる食品の代表は、ごはんやパン、麺類などの主食です。
ごはん100gには37.1g、食パン100gには46.4g、中華めん100gには29.2gの炭水化物が含まれています。このうちほとんどが糖質なので、これらの食品は体のエネルギー源になりやすい一方で、とり過ぎると太りやすくなるといえます。
じゃがいもやさつまいもなどの芋類も、炭水化物を多く含む食品です。
じゃがいも100gには18.1g、さつまいも100gには31.9gの炭水化物が含まれており、そのほとんどが糖質なので、食べ過ぎには注意しましょう。
炭水化物が少ない食品
一方、炭水化物が少ない食品は、肉や魚、野菜です。
特に鶏むね肉や牛・豚の赤身肉は高タンパク・低脂質・低炭水化物で、糖質制限中の方にぴったりとの食品と言えます。
いずれも100gあたりに含まれる炭水化物は1g以下なので、炭水化物のとり過ぎが気になる方はぜひ積極的に食べましょう。
ただし、肉や魚だけではビタミンやミネラルといった栄養素は不足します。そんなときは、低糖質で食物繊維を多く含む野菜で不足しがちな栄養素を補ってください。
炭水化物が多い食品は食べ過ぎに注意すればOK
炭水化物が多く含まれる食品だからといって、一切食べないのは体によくありません。健康のためには、さまざまな食品をバランスよく食べるようにしましょう。
炭水化物が多く含まれる食品であっても、食べ過ぎに注意すればダイエット中に食べても問題ありません。
炭水化物も適度にとって、ヘルシーな食生活を!
ダイエット中は悪者にされがちな炭水化物ですが、不足すると体の調子を崩してしまいます。健康的にダイエットしたいなら、炭水化物も適度に摂取するようにしましょう。炭水化物が多い食品を食べたときは、その後の食事で炭水化物を控えるなど調整すればOKです。
自分の体に必要な炭水化物の量を知りたい場合は、PFCバランスをもとに摂取目安カロリーから求めてみてくださいね。
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参考:
食品成分データベース【「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」】(引用)-文部科学省
食事バランスガイド-農林水産省(PDF)