「ダイエット中は炭水化物を控えたいから、野菜と肉を中心に食べている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、野菜はどれも炭水化物が少ないと思っているなら要注意です。野菜のなかには、炭水化物を多く含む野菜もあります。
この記事では、炭水化物が多い野菜を紹介するとともに、上手なとり方も紹介しますので、毎日の食事を考える参考にしてくださいね。
炭水化物が多く含まれる野菜は太りやすいって本当?
ダイエットをしている方のなかには「炭水化物=太る」というイメージを持っている方も少なくないと思います。
しかし、炭水化物が多いからといって太りやすい食品であるとは一概にいえません。
炭水化物が多い野菜を紹介する前に、まずは炭水化物がどういったものなのか正しく理解しましょう。
炭水化物が多い=糖質が多いとは限らない
炭水化物とは、私たちの体にとって欠かせないエネルギー源である「糖質」と、体の調子を整える「食物繊維」を合わせたものです。
そのため、炭水化物を多く含む食品とひと口にいっても、
・糖質は少ないけれど食物繊維が豊富な食品
・食物繊維が少なく、糖質が多い食品
・糖質も食物繊維も多い食品
の3タイプがあり、一概に「炭水化物が多い=糖質が多い」とはいい切れません。
炭水化物が多い野菜のなかには食物繊維が豊富なものもある
炭水化物を多く含む野菜には、じゃがいもやさつまいも、れんこんなどがあります。
これらの野菜は、糖質も豊富ですが食物繊維も豊富です。
食物繊維は、私たちの体のコンディションを整えるのに欠かせない成分で、さまざまな働きをすることから最近は「第6の栄養素」とも言われたりしています。
糖質が多い食品は太りやすい
どうして「炭水化物=太りやすい」というイメージを持っている人が多いのでしょうか。
それは、炭水化物に含まれる糖質のとり過ぎが肥満につながるからです。
糖質は私たちの体に欠かせないエネルギー源で、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって筋肉や肝臓のなかに取り込まれます。
しかし、インスリンの分泌が少なかったり、効き目が悪かったりして筋肉や肝臓に吸収しきれなくなると、余った糖質は中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられてしまうのです。
糖質をとり過ぎれば、糖質を筋肉や肝臓に取り込むためにたくさんのインスリンが必要になります。だからといって、すい臓は無限にインスリンを出せるわけではありません。
つまり、糖質が多い食品を食べ過ぎると、インスリンが分解しきれない「糖質の余り」が中性脂肪として体に蓄えられやすくなるため、太りやすくなると言えるのです。
このことが、「炭水化物=太りやすい」というイメージにつながっているのでしょう。
ダイエット中に野菜を食べるメリットは?
どうすれば上手に炭水化物を補えるのでしょうか?おすすめの方法は、食物繊維が豊富な野菜を食べることです。
食物繊維がおなかの調子を整えてくれる
食物繊維は、大きく2つのタイプに分けられます。
水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」です。
どちらも腸内の善玉菌のエサになるので、積極的にとることで腸内環境が整いやすくなるんですよ。
現代人は、食物繊維が不足しがちだといわれています。
18~64歳で男性21g以上、女性18g以上が1日あたりの摂取目標量です。今の食事に3~4gプラスするようにしましょう。
食物繊維の上手なとり方などはこちらの記事でくわしく解説しています。合わせてチェックしてみてくださいね。
引用:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
食後の血糖値の急上昇を穏やかにしてくれる
水溶性食物繊維は、食べ物の消化・吸収のスピードを穏やかにしてくれることから、食後の血糖値の急上昇を抑えるのに役立つ成分です。
血糖値の急上昇は、血糖値の急低下をもたらします。血糖値が急低下すると、食事をとった直後であっても空腹感を感じるため、どうしても何か食べてしまいます。
結果として、食べ過ぎからカロリーオーバーになって太りやすくなるため、ダイエット中は血糖値の急上昇を抑えることが重要です。もちろん、健康のためにはダイエット中でなくても、血糖値が急上昇するような食生活は避けましょう。
血糖値の急上昇が抑えられると、満腹感が長続きするだけでなく、集中力の低下や眠気も抑えられますよ。
血中コレステロールの濃度を下げてくれる
食物繊維には、血中コレステロールの濃度を下げる働きもあります。
コレステロールには、髪や皮膚を健やかにしたり、細胞膜・ホルモン・脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の原料になったりする「善玉コレステロール」と、動脈硬化を引き起こす「悪玉コレステロール」があります。
悪玉コレステロールが増え過ぎると、動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるので、増えすぎないように毎日の食事に気を配りましょう。
悪玉コレステロールは、1日25~30gの食物繊維をとることで減らすことができます。
タンパク質・脂質とのバランスも考えながら、食物繊維をたっぷりとるのがおすすめです。
炭水化物の多い野菜はどんな野菜?
では、炭水化物の多い野菜には、どんなものがあるのでしょうか?炭水化物が多い野菜といっても、
・食物繊維も糖質も多く含む野菜
・糖質が少なく、食物繊維が多い野菜
の2種類があります。
それぞれに紹介します。
芋類や根菜類は糖質・食物繊維ともに多め
食物繊維も糖質も多く含む野菜は、じゃがいもなどの芋類や、れんこんなどの根菜類です。
じゃがいもの場合、100gあたり17.3gの炭水化物を含んでおり、うち17gが糖質です。糖質が多い野菜ですが、8.9gの食物繊維も含んでいます。
さつまいもは、100gに含まれる炭水化物33.1gのうち、31.0gが糖質、2.8gが食物繊維です。
れんこんは、100gあたり15.5gの炭水化物を含み、うち14.2gが糖質、2.0gが食物繊維となっています。
かぼちゃは、100gあたり10.9gの炭水化物を含み、うち8.3gが糖質、2.8gが食物繊維です。
これらの野菜は糖質が多いことからダイエット中は避けている方も多いかと思います。
しかし、食物繊維も豊富に含まれるので、食べ過ぎに注意すれば、糖質と食物繊維を同時に補える便利な野菜といえます。
葉物野菜は糖質が少なく、食物繊維が多い
糖質を抑えながら食物繊維をとりたいのであれば、葉物野菜を選ぶのがおすすめです。
ほうれん草は100gあたりの炭水化物量3.1gのうち2.8gが食物繊維ですし、小松菜100gあたりの炭水化物量2.4gのうち1.9gが食物繊維です。
栄養価が高い葉物野菜であれば、モロヘイヤやブロッコリーがいいでしょう。
モロヘイヤは100gあたりの炭水化物量6.3gのうち5.9gが食物繊維で、ブロッコリーは6.6gのうち5.1gが食物繊維です。
ビタミンやミネラル、カルシウムなども含む野菜なので、ダイエット中に不足しがちな栄養素を補うのに役立ててくださいね。
糖質と食物繊維のバランスを考えて野菜を選ぼう!
ダイエット中に野菜を選ぶときは、炭水化物の総量だけでなく、糖質と食物繊維のバランスを考えて選びましょう。
炭水化物が多いからといって、太りやすい野菜・食品であるといい切ることはできません。
糖質のとり過ぎは肥満につながるので要注意ですが、一切とらないというのも体に悪影響があります。
ダイエットの成功には、自分の摂取目安カロリーを知ったうえで、バランスよく食べることが欠かせません。
食事を見直す際は、ぜひこの記事で紹介したことを役立ててくださいね。
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参考:
はらぺこ以上満腹未満。夕方のつなぎ食には低GI食品を-大塚製薬
炭水化物を多く含んでいる食べ物は?摂取基準や健康的な食べ方も紹介-ロッテ
[ブロッコリーの栄養]茹でる、無水調理、レンジ加熱で違うの?–KGOME