筋トレやボディメイクに取り組みはじめると、タンパク質の必要性を感じますよね。コンビニやスーパーなどでも、タンパク質強化食品を見かけることが増えてきました。それほど、人々のタンパク質に対する興味関心が高まってきているといえるでしょう。
しかし、タンパク質を1日どれくらいとればいいのか知っていますか?タンパク質は不足するのもよくありませんが、とり過ぎるのも体に悪い影響を与えかねません。
この記事では、なぜタンパク質が体に必要なのか、とり過ぎによるリスク、男女別のタンパク質適正量を紹介しています。ぜひ最後までチェックして、正しいタンパク質のとり方を知ってくださいね。
タンパク質は体に必要不可欠な栄養素
タンパク質は、生きていくうえで欠かせない大切な栄養素です。どのような働きをしているか、そしてどのような食べ物に含まれているのか、くわしく説明していきます。
筋肉から細胞まで体の隅々に使われる
まず、どれくらいのタンパク質が体に含まれているのかみてみましょう。
体重60kgの成人の例
・水分 約63%
・タンパク質 約16%
・脂質 約15%
・無機質 約6%
・糖質 約1%
水分の次にタンパク質は多いことが分かりますね。タンパク質は筋肉、内臓、血液、細胞など体の隅々まで使われる栄養素です。
炭水化物、脂質とあわせて三大栄養素と呼ばれ、生きていくうえで欠かせません。
タンパク質が含まれる食べ物
タンパク質は、主に肉や魚、卵、乳製品、大豆などに多く含まれます。タンパク質は1gで4kcalのエネルギーを生み出すのが特徴です。
通常、炭水化物を優先的にエネルギー源として利用しますが、不足した場合は脂質とタンパク質が利用されます。糖質制限中は炭水化物の摂取量が少なくなるので、タンパク質をしっかりとってエネルギー源とします。
運動習慣のある人はタンパク質が多く必要
運動習慣のある方はタンパク質の必要量が多くなります。運動をするときは、エネルギーになりやすい炭水化物から優先的に使われますが、すぐにエネルギー不足になってしまいがちです。すると、次に脂質、タンパク質がエネルギー源として使用されることに。
ただ、タンパク質を利用するということは、筋肉などに蓄えられたタンパク質を取り崩すことになります。つまり、筋肉量が減ってしまうのです。せっかく運動をして筋肉をつけたとしても、タンパク質の量が不足しては意味がありません。 運動習慣がある方のタンパク質必要量は、「体重(kg)×1.2~2.0g」が目安になります。1.2~2.0gと幅があるのは、運動の種類や強度によって調整する必要があるからです。
タンパク質が不足するとどうなる?
タンパク質が不足すると起こることは
・筋肉の減少
・肌や髪のツヤがなくなる
・集中力や思考力の低下
・感染症にかかりやすくなる
などがあります。
筋肉は基礎代謝に関わる部位で、約20%ものエネルギーを消費しています。その筋肉が少なくなるということは、基礎代謝量が減ってしまうということ。つまり、同じような生活をしても筋肉の少ないほうが、太りやすくなってしまうのです。
また、肌や髪をつくるのもタンパク質です。タンパク質が不足すると、肌や髪をつくる材料がなくなるので、肌や髪のツヤがなくなったり、カサついたりします。
一見関係なさそうな集中力や思考力にも、タンパク質が大いに関係しているのです。集中力や思考力は、神経伝達物質と呼ばれるものが必要なのですが、こちらもタンパク質が材料。不足するとボーっとしたり、注意力散漫になったりします。
感染症を予防するのは、白血球などの免疫細胞です。この免疫細胞もタンパク質が材料になっているので、不足すると感染症にかかりやすくなります。
忙しいと、ついパンやカップ麵、コンビニ弁当などで済ませがちですが、知らず知らずのうちにタンパク質が不足していることも多いのです。
タンパク質のとり過ぎが招くリスク
ここまでタンパク質の役割や必要性についてお話してきましたが「タンパク質はとればとるほど体のためになるか」というと、そうではありません。実はタンパク質をとり過ぎることで、さまざまな影響が出てしまいます。
内臓疲労
体内で利用されず余ったタンパク質は、窒素へと分解されます。窒素はやがてアンモニアへと変換されるのですが、アンモニアは人体にとって有害な物質です。アンモニアを無害な尿素へと変換してから、尿中に排泄されます。
この作業に使われるのが、肝臓と腎臓。毎日毎日余分なタンパク質が体に入ってくると、肝臓や腎臓に負担がかかり、機能が低下しかねません。
腸内環境の悪化
余ったタンパク質は、体に吸収されず腸内に移動します。タンパク質は悪玉菌のエサになるので、腸内環境が悪化してしまうのです。腸内環境が悪化すると、便秘や下痢、肌荒れといった症状だけでなく、免疫機能の低下にもつながります。
長期間腸内環境が悪化したままだと、大腸がんなど重大な疾病の原因になることも。
尿路結石
タンパク質の中でも、肉や魚などの動物性タンパク質を過剰に摂取する生活が続くと、尿路結石の原因になりかねません。
動物性タンパク質を摂取すると、シュウ酸という物質が発生します。シュウ酸は、体内のカルシウムと結合しやすい性質を持ち、尿中でシュウ酸とカルシウムが結合すると石のような固い物質に。
この固い物質が尿管へ移動すると、すさまじい激痛を引き起こします。
肥満
余ったタンパク質は窒素に変換されるだけでなく、脂肪として蓄えられることから、太る原因に。タンパク質は1gあたり4kcalのエネルギーを持つことからタンパク質をとり過ぎると、カロリーオーバーにつながるのです。
また、タンパク質を含む食品は脂質を含むものも多いので、余計にカロリーオーバーしやすくなります。
タンパク質の適正量
タンパク質は不足するのもとり過ぎのも、体によくありません。では、どれくらいのタンパク質をとればいいのでしょうか。
運動習慣がある方は、それぞれの運動量に合わせてタンパク質の必要量が異なるので、ここでは一般的な方を対象にお話します。
成人女性に必要な量と食品の目安
成人女性の場合、1日50gのタンパク質が必要です。50gのタンパク質=50gの肉や魚を食べればいいというわけではないので、少し分かりづらいですよね。
どのくらいの食品を食べれば50gのタンパク質が確保できるのか、例をあげて説明します。
食品名 | タンパク質の量 |
鶏もも肉100g | 17.3g |
絹ごし豆腐1/3丁(100g) | 5.3g |
納豆1パック(40g) | 6.6g |
サケ切り身1枚(80g) | 17.8g |
卵1個(50g) | 6.1g |
合計 | 53.1g |
少しオーバーしましたが、このくらいの食品が目安です。また、ごはんやパン、麺などにもタンパク質は含まれています。
成人男性に必要な量と食品の目安
成人男性の場合、1日65gのタンパク質が必要です。
男性の場合、65gのタンパク質を確保するにはどのような食品を選べばいよいのか、例をあげてみました。
食品名 | タンパク質の量 |
鶏もも肉100g | 17.3g |
絹ごし豆腐1/3丁(100g) | 5.3g |
豚肩肉100g | 18.5g |
サケ切り身1枚(80g) | 17.8g |
卵1個(50g) | 6.1g |
合計 | 65.0g |
これくらいの食品でタンパク質は65gになります。普段の食事で、どれだけタンパク質をとっているか分からないときは、食事管理アプリを活用してみましょう。
タンパク質のとり過ぎは体調不良の原因に
タンパク質は体をつくる大切な栄養素です。肉や魚、卵、乳製品、大豆などに多く含まれています。不足すると「筋肉が減って基礎代謝量が落ちる」「髪や肌のツヤがなくなる」「集中力の低下」「免疫機能の低下」などの症状が起こるので、気を付けましょう。
ただし、タンパク質はとり過ぎもよくありません。「内臓疲労」「腸内環境の悪化」「尿管結石」「肥満」などの原因になるからです。タンパク質の適正量は成人女性で50g、成人男性だと65gになります。
最近はタンパク質強化食品も増えて、手軽にタンパク質が確保できるようになっていますが、バランスよく食べることが大切です。食事の基本をおさえて、健康的な食生活を送ってくださいね。
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参考:
【タンパク質の必要量】タンパク質はどれくらい摂ればいい ?-森永製菓株式会社
タンパク質の不足で起こる諸症状、その症状と対策とは -POWER PRODUCTION MAGAZINE
基礎代謝をあげるために大事な3つのこと | 気になることをやさしく解説「生活習慣ケアコラム」 -大正製薬
タンパク質の摂りすぎは危険!?過剰摂取による影響とは -POWER PRODUCTION MAGAZINE