魚の主な栄養素はタンパク質です。タンパク質がとれるだけでなく、認知機能の維持に役立つDHAや、血液をサラサラにするEPAなど、魚特有の栄養素が含まれています。健康維持のために積極的に食べたい食品ですが、実は魚(魚介類)の種類によってタンパク質の量が異なります。
この記事では、どんな魚にタンパク質が多い、または少ないのか説明しています。魚のタンパク質量をくわしく知って、健康的な食生活に役立てましょう。
そもそもタンパク質はなぜ必要?
魚はタンパク質を多く含む食品です。タンパク質をきちんととるよう、提言されていますが、なぜタンパク質は必要なのでしょうか。
体をつくる大切な材料
タンパク質は、体をつくる材料になる栄養素です。筋肉、内臓、血液、肌、髪、細胞など、体のあらゆる場所で使われています。炭水化物、脂質とあわせて三大栄養素と呼ばれ、生きていくうえで欠かせない大切な栄養素です。
タンパク質はアミノ酸に分解され、体のあちこちに運ばれます。タンパク質が不足すると、「筋肉が減る」「肌や髪のツヤがなくなる」「集中力が低下する」といった症状が起こることも。
1日の必要量
タンパク質は成人男性の場合1日65g、成人女性は50gほど必要です。鶏むね肉150g、卵1個、豆腐1/3丁、サケ切り身80gを食べると50~65gくらいのタンパク質がとれます。
これくらいのタンパク質量ならすぐに確保できるように思いますよね。しかし、3食のうちどこかを欠食したり、食生活が乱れたりしていると、必要なタンパク質量はなかなか確保できません。
タンパク質が含まれる食品
タンパク質は主に、肉、魚介類、卵、乳製品、大豆などに含まれています。タンパク質は動物性タンパク質と植物性タンパク質に分けられ、それぞれ違った特徴があります。
動物性タンパク質はタンパク質量が多く、必須アミノ酸(体の中で合成できないアミノ酸)をバランスよく含むのが特徴です。植物性タンパク質は、ややタンパク質量は少なめですが、低脂質・低カロリーのものが多くなっています。
魚介類は優秀なタンパク質源
魚介類はタンパク質を多く含み、必須アミノ酸をバランスよく含むものが多いことから、優秀なタンパク質源といえます。さらに、ビタミン、ミネラル、DHA、EPAなどさまざまな栄養素が含まれているのです。特にDHAやEPAは魚からしかとれない成分なので、積極的に食べたいところ。
また、同じ動物性タンパク質の肉に比べると、低脂質・低カロリーなものも多く、ダイエット中でも安心して食べられるでしょう。
魚介類の種類によってタンパク質量が変わる
魚介類は基本的にタンパク質を多く含みますが、種類によってはタンパク質の量が少ないことも。せっかくタンパク質を多くとろうと思って魚を食べても、種類によってはタンパク質が足りないかもしれません。
では、どのような魚介類にタンパク質が多く含まれているのでしょうか。
タンパク質の多い代表的な魚介類
まずは、タンパク質の多い魚介類を紹介します。
マグロ
マグロは赤身魚。刺身や寿司の代表的なネタとして知られています。タンパク質は100gあたり24.3gです。マグロは鉄分やDHA、EPA、ビタミンEなどを多く含みます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
カツオ
カツオは赤身魚。春に獲れる初カツオは脂が少なくサッパリとし、秋に獲れる戻りカツオは脂が乗った濃厚な味が楽しめます。タンパク質は100gあたり25.8gで、魚の中でもトップクラスの多さです。ビタミンB群や鉄分、DHA、EPAを多く含みます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
サケ
サケの身は赤いですが、白身魚です。タンパク質は100gあたり22.3g含まれています。ビタミンD、ビタミンE、アスタキサンチン、DHA、EPAを多く含むのが特徴です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
カレイ
カレイは白身魚。身が柔らかく、食べやすい魚です。タンパク質は100gあたり19.6g含まれます。カリウムやマグネシウム、カルシウム、ビタミンDなどを多く含みます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
タイ
タイは白身魚で、低脂質・低カロリーです。タンパク質は100gあたり20.9g含みます。カリウムやナイアシン、ビタミンAを含む魚です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
サバ
サバは青魚です。タンパク質は100gあたり20.6gで、DHA、EPA、鉄分、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンEを多く含みます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
アジ
アジは青魚です。タンパク質は100gあたり19.7g含まれます。DHAやEPAを豊富に含むのが特徴です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
ブリ
ブリは青魚で、タンパク質は100gあたり21.4g含まれます。ブリは脂が乗っており、DHAやEPAを多く含むのが特徴です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
エビ
エビは甲殻類の一種。プリプリとした食感が魅力で、多くの日本人から愛されています。タンパク質を100gあたり19.6g含み、カルシウム、アスタキサンチン、タウリンなどミネラルを多く含むのが特徴です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
タンパク質の少ない代表的な魚介類
では、タンパク質の少ない魚には、どのような種類があるのでしょうか。
ギンダラ
ギンダラは白身魚で、タラと名がつきますがマダラとは別の種類です。タンパク質は100gあたり13.6gで、魚の中ではかなり少なめです。しかし、ギンダラはビタミンAが多く、皮膚の健康維持や免疫機能の維持に役立ちます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
マダラ
マダラは低脂質な白身魚です。タンパク質は100gあたり17.6gで、ギンダラよりは多いですね。ビタミンB12、ヨウ素、セレンを多く含むのが特徴です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
サンマ
サンマは青魚で、タンパク質を100gあたり18.1g含みます。脂が乗っており、DHA、EPAを多く含む魚です。また鉄、ビタミンB12、ビタミンDも多く含みます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
ワカサギ
ワカサギは白身魚で、タンパク質は100gあたり14.4gほど含みます。小型の魚で、1匹丸ごと食べられるのが特徴です。そのため、カルシウムを豊富に含みます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
貝
さざえなど一部タンパク質が多いものもありますが、基本的に貝のタンパク質は少なめです。ホタテは100gあたり13.5g、あさりは100gあたり6.05gほどタンパク質を含みます。栄養は種類によって変わりますが、鉄分や亜鉛、マグネシウムなどミネラルを多く含むのが特徴です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
アナゴ
アナゴはふっくらとした身と、あっさりとした味が特徴です。タンパク質は100gあたり17.3gほど含みます。ビタミンAやカリウム、カルシウムを多く含む魚介類です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
ウナギ
ウナギはアナゴより脂質が多く、濃厚な味わいが特徴です。タンパク質は100gあたり17.1gほど含みます。ビタミンAは食品の中でもトップクラスの含有量。さらにビタミンB群も豊富に含むことから「ウナギを食べると精がつく」といわれています。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
カニ
カニは甲殻類で、高級食材として知られています。タンパク質は100gあたり13.9gほど含みます。亜鉛や銅などのミネラルを多く含むのが特徴です。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
タコ・イカ
タコとイカは軟体動物。タコは100gあたり16.4g、イカは100gあたり17.6gのタンパク質を含みます。どちらもタウリンを多く含み、疲労回復に役立ちます。
引用:文部科学省 食品成分データベース【日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
注意点
ただし、タンパク質が少ないからといって、食べなくてもいいわけではありません。タンパク質は少なめでも、これらの魚介類はカルシウムが豊富だったり、ビタミンやミネラルが豊富だったりするものが多いからです。タンパク質の多い魚と少ない魚、どちらもバランスよく食べましょう。
タンパク質の少ない魚にも栄養がたっぷり詰まっている
魚は良質なタンパク質源です。肉に比べて低脂質、低カロリーなものが多く、ダイエット中でも安心して食べられるでしょう。DHAやEPAは魚にしか含まれない成分なので、健康維持のためにも普段から積極的に食べたいですね。
また、魚にはタンパク質が多いものと少なめのものがあります。ただ、タンパク質が少ない魚介類にも栄養がたっぷり含まれているので、バランスよく食事にとり入れてくださいね。
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参考:
DHAやEPAが豊富!【マグロ】の栄養と効能を部位別に詳しく解説 | 食・料理 -オリーブオイルをひとまわし
カツオの栄養を管理栄養士が徹底解説!マグロとの比較も紹介 – トクバイニュース
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