糖質制限中に脂質を制限するのはNG!理由と積極的にとりたい脂質の種類

糖質制限中に脂質まで制限すると、早くやせるように感じませんか?たしかに、体の主なエネルギー源である糖質と脂質を制限すると、摂取エネルギーが極端に低くなるので、理論的にはやせるかもしれません。しかし、やせたとしても体に大きな負担をかけてしまうので、糖質と脂質の両方を制限するのは控えましょう。

この記事では、糖質制限中に脂質制限をするのがNGな理由や、脂質が不足すると起こること、糖質制限中に摂りたい脂質の種類を紹介します。糖質制限で健康的にやせたい方は、ぜひ最後まで目を通してくださいね。

糖質制限中に脂質制限を並行するのはNGな理由

糖質制限中に脂質制限をすると、手っ取り早くやせるように思いがちですが、並行するダイエット方法はおすすめできません。では、なぜ糖質制限中に脂質制限を行ってはいけないのか、理由を説明しますね。

脂質は糖質制限中の大事なエネルギー源

脂質は糖質制限中のエネルギー源になります。そもそも人間のエネルギー源は、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質の3つ。
・炭水化物1g=4kcal
・脂質1g=9kcal
・たんぱく質1g=4kcal

エネルギー源になりやすい順番も、炭水化物>脂質>たんぱく質なのです。通常は炭水化物を優先的にエネルギー源としている状態なのですが、糖質制限中は糖質からエネルギーを確保できません。すると、体は脂質をエネルギー源として利用するよう、切り替えます。

もし脂質まで制限すると、奥の手であるたんぱく質をエネルギー源として利用することに。つまり、筋肉を分解してエネルギー源にするのです。筋肉量が少なくなると、当然基礎代謝まで落ちるので、かえってやせにくい体質になってしまいます。

脂質制限も同時進行すると健康的にやせられない

たしかに、糖質と脂質を同時に制限すると、体へ供給されるエネルギーが極端に少なくなるので、みるみるうちに体重は減っていくでしょう。しかし、先ほど説明をしたように、たんぱく質がエネルギー源になると、筋肉量が減って基礎代謝が落ちてしまいます。

また、糖質と脂質の両方を制限すると、食べられるものが限定されるのも懸念点です。糖質と脂質を制限しながら、必要なエネルギー量を確保し、なおかつ栄養素のバランスも考えるとなると、至難の業でしょう。両方を制限することで、栄養不足による体調不良が考えられます。

糖質制限中は原則脂質の制限はなし

糖質制限中は、脂質摂取量に制限はないと考えましょう。ただし、無理をして脂質を摂取したり、おかずのほとんどを揚げ物や脂質たっぷりの食材に置き換えたりしてもいい、というわけではありません。

揚げ物など脂質ばかり積極的に摂ると、人によってはニキビや肌荒れの原因になります。また、脂質を摂りすぎると目標エネルギー量を超えることに。人は摂取エネルギーが消費エネルギーを超えると、太る仕組みになっています。いくら糖質を抑えたとしても、脂質でエネルギーオーバーをすると、意味がありません。

このような生活を長期間続けると、脂質異常症の原因にもなるため、脂質があまりにも多すぎる食事になっていないか、見直してみましょう。

糖質制限中に脂質が不足すると起きること

糖質制限中、脂質は大切なエネルギー源となることが分かりました。では、脂質が不足すると、体にどのようなことが起こるのでしょうか。

1.やせにくくなる

糖質制限中に脂質まで不足すると、やせにくくなる恐れがあります。慢性的なエネルギー不足の状態になると、体が飢えを察知して、省エネモードに切り替わるのです。エネルギーを消費しづらい状態に切り替えるので、体重も減りにくくなります。

また、脂質が不足した状態ではたんぱく質がエネルギー源となります。筋肉を消費してエネルギー源にしているので、基礎代謝も減ることに。頑張っていろいろ制限をしたとしても、かえってやせにくい体ができあがってしまうのです。

2.肌荒れ

脂質というと、油をイメージしがちですが、脂質はさまざまな食品に含まれています。
例:肉、魚、乳製品、卵、大豆、アボカド、ナッツなど
これらの食品には、ビタミンE、ビタミンB群、パントテン酸、ミネラルなどが含まれています。健康な肌を保つために必要な栄養素も含まれているので、脂質全般を制限すると、肌荒れの原因となってしまうのです。

3.必須脂肪酸が不足する

必須脂肪酸とは、体の中で合成できず、食事からしか取り込めない脂肪のことです。必須脂肪酸が不足すると、皮膚の乾燥や脱毛、免疫低下などの不調が懸念されます。

4.ホルモンバランスが乱れる

脂質はホルモンの材料になるので、不足するとホルモンバランスが乱れる可能性があります。ホルモンバランスの乱れによって、生理不順、肌や髪の乾燥など、さまざまな不調が考えられるのです。また、かえって食欲が旺盛になることもあります。よかれと思って脂質まで制限することで、健康に影響が出やすくなることを覚えておきましょう。

糖質制限中は積極的に摂りたい脂質の種類

糖質制限中、脂質を制限する必要はありませんが、脂質なら何でもいいというわけではありません。脂質に含まれる脂肪酸は「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」の2つに分けられます。

飽和脂肪酸は肉の脂やバター、乳製品、ヤシ油、パーム油などに含まれているのですが、摂り過ぎると生活習慣病の原因になるのです。肉や乳製品は良質なたんぱく質源になることから、糖質制限中はついたくさん摂ってしまいがちに。健康を考えるなら、肉だけでなく魚や大豆製品をバランスよく取り入れましょう。

ただし、飽和脂肪酸の中でも「中鎖脂肪酸」は、糖質制限中におすすめです。ココナッツオイルやMCTオイルなどが中鎖脂肪酸に該当します。脂肪酸でありながら体脂肪になりにくく、速やかにエネルギーに変わる性質があるからです。糖質からエネルギーが得られにくい糖質制限中にピッタリの脂質とい言えるでしょう。

一方、不飽和脂肪はオリーブオイルや青魚、えごま油、アーモンド、大豆油などに含まれています。悪玉コレステロールを下げたり、血液をサラサラにしたりするなど、体に優しい油です。

なお、不飽和脂肪酸にはトランス脂肪酸が含まれますが、こちらは摂り過ぎによって悪玉コレステロールを増やしてしまうので、注意しましょう。トランス脂肪酸はマーガリンなどに含まれています。

では、不飽和脂肪酸の種類や詳しい働きを見ていきましょう。

オメガ3系脂肪酸

オメガ3系脂肪酸には、α-リノレン酸、EPA、DHAなどが含まれます。αーリノレン酸はえごま油や亜麻仁油に含まれており、必須脂肪酸の一種です。熱に弱いので、そのまま食品にかけたり、ドレッシングなどに使ったりするといいでしょう。酸化しやすい特性があるので、開封したら早めに使い切ることも必要です。

EPAはエイコサペンタエン酸と読み、青魚に含まれています。血液をサラサラにしたり、生活習慣病を予防したりする効果が期待できます。DHAはドコサヘキサエン酸と読み、こちらも青魚に含まれるのが特徴です。脳の機能を活性化させるので、記憶力や判断力の維持や改善に役立つとされています。

オメガ6系脂肪酸

オメガ6系脂肪酸には、リノール酸やアラキドン酸などが含まれます。中でもリノール酸は必須脂肪酸の一種です。コレステロールを下げる働きがあるものの、摂り過ぎは善玉コレステロールまで下げてしまうので、摂取バランスには気を付けましょう。大豆油やヒマワリ油など、日常的に使用する植物油に多く含まれます。

オメガ9系脂肪酸

オメガ9系脂肪酸には、オレイン酸などがあります。オリーブオイルや菜種油、べに花油、アーモンドなどに含まれており、悪玉コレステロールを下げる働きが期待できます。

糖質制限中こそ脂質をしっかりとって健康的にダイエットを!

糖質制限中は、脂質やたんぱく質が主なエネルギー源となります。手っ取り早くやせようとして脂質まで制限してしまうと、体調不良になったり、筋肉量が落ちて基礎代謝が下がったりと、体に不都合が起きてしまうのです。糖質制限中は、脂質の摂取量に制限はありませんが、毎食揚げ物にするなど度を超えた脂質の摂取は太る原因になるので、注意しましょう。余裕があるときは、脂質の種類にも気を使ってみて、体にいいものを取り入れてくださいね。

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参照:
文部科学省 食品成分データベース