糖質制限ダイエット、成功のカギは「ケトン体」!

前回に引き続き、今回も糖質制限、低糖質ダイエットについてお話します。

今回のテーマは「ケトン体」。

糖質制限中の方なら聞く機会が増える「ケトン体」ですが、いまいち何のことなのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

体を動かすためにはエネルギーが必要……というのは皆さんご存知だと思いますが、そのエネルギー回路には、2種類あることをご存知でしょうか?

まずは「糖質回路」。そしてもうひとつが「ケトン体回路」といいます。人間の体は、エネルギーを使うときこの2つのどちらの回路を使ってもいいようにできています。

そして低糖質ダイエットにおいては、この「ケトン体回路」がとても重要なのです。
さっそく、詳しく見ていきましょう!

糖質回路とケトン体回路。何が違うの?

糖質回路」は、その名の通り、「糖質」をエネルギー源として働く代謝回路のこと。炭水化物や甘いものを源として動きます。
太りやすい「糖質回路」

体の中に糖質が入ると、分解されて「ブドウ糖」などに変わります。これがエネルギーとして使われるのですが、使い切れずに血糖値が上がると、インスリンが分泌されます。これにより糖質は筋肉や肝臓にストックされたり、脂肪として溜め込まれてしまったりするのです。

では、「ケトン体回路」はどういうものかと言うと……

一言でいうと、「脂肪」をエネルギー源にして動く代謝回路です。
「脂肪を使って動く」これだけ聞くと、脂肪をどんどん燃やしてくれる回路なわけですから、ダイエッターにとっては夢のようですよね!

ただし、ケトン体は体の中に糖質があるうちは生まれません

エネルギー源としての糖質が体内でからっぽになってはじめて、次に使われるエネルギーとして「中性脂肪」があがってくるのですが、この中性脂肪を材料に作られるのが「ケトン体」です。

 

その仕組みを簡単にまとめると……

1)「中性脂肪」が分解されて「脂肪酸」に

2)「脂肪酸」が血液の中で「遊離脂肪酸」という物質に

3)「遊離脂肪酸」が「ケトン体」に

このような流れで、「ケトン体」という物質が生まれてくるのです。

脂肪を燃やしてエネルギーを作る回路なので、ケトン体回路が「痩せる回路」と呼ばれているのですね。

「ダイエットしてるのに、うまく痩せない……」という方は、もしかしたらエネルギー回路の優先順位が、糖質>脂肪 になっているのかもしれません。

痩せる体になりたい!
「ケトン体回路」に切り替えるには?

「よし、それじゃ明日からケトン体回路を動かそう!」と決意しても、急には切り替えられません。

活動するときのエネルギー源消費の優先順位は、糖質>脂質>たんぱく質 の順番です。

だから、糖質をたっぷり摂る生活を続けているかぎり、いつまでたってもエネルギー源は糖質のまま。脂肪が燃えるケトン体回路は動き出さないんです。

まずは体内の糖質をすっからかんにすること!これが第一歩です。糖質制限をするのは、このためだと心に留めておきましょう。

そして、ケトン体回路を動かすために必要な「たんぱく質」をたっぷり摂る! たんぱく質が不足すると、体はエネルギー限が不足し、エネルギーを使わない「溜め込み体質」になってしまいます。(詳しくは前回の記事をチェック!

糖質をオフし、たんぱく質をしっかり補給する。これで、体脂肪をエネルギー源にするケトン体回路が動き出します。

糖質制限には意味がある

代謝のメイン回路が切り替われば、体の中にたっぷり貯まった中性脂肪がおもしろいように燃え始めるというわけですね。なぜ糖質をコントロールすれば痩せるのか? その鍵は、エネルギー回路にあったのです。

このエネルギー回路がうまく切り替わると、今まで糖質にどっぷりだった人ほど、効果が現れやすいと言われています。カロリー制限ではイマイチ実感できなかった方も、この方法はきっと手ごたえを感じるのではないでしょうか?

では次回は、そんな糖質制限中に、具体的には何を食べたら良いのか。オススメの食材やメニューを具体的にご紹介していきます。
→「引き算のダイエット」は卒業! 糖質とたんぱく質とトレードオフしよう

 

 

糖質制限中の方は必読!
「低糖質ダイエットのススメ」記事一覧


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参考:
麻生れいみ(2016)『麻生れいみ式ロカボダイエット』ワニブックス.
江部康二(2016)『「糖質オフ!」健康法』PHP研究所.